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「相手の意見を受け止める」上手なコミュニケーション

「“たしかに”+“しかし・でも”」の会話例

コミュニケーションは、野球のキャッチボールのように、話し手は聴き手に伝わるようにわかりやすい言葉やジェスチャーなどを交えて相手に伝えていきます。聴き手は、相手の話を、相手の目を見る、相づちを打つ、うなずくなどをしながらしっかりと聴き、その話を受けて、自分の意見など伝えていきます。

●討論の場などにおいては、自分の考えや意見などを一方的に話してしまうことがあり、その様子はキャッチボールではなく、ドッチボールのようになってしまいがちです。そのようにならないためには、まず、相手の意見を受け止めることが重要になります。

そこで、相手の意見を受け止める手法の1つとして、

「“たしかに”+“しかし・でも”」

を挙げました。

それでは、親子の会話の例から始めていきます。子どもがTVゲームで遊んでいて、夕食ができあがった状況での会話です。

「親:(子どもに対して)ご飯ができたよー」
「子ども:ゲームをやっているから、あとでー」

ケース1:「親:ご飯が冷めるから早く食べなさい」

ケース2:「親:ゲームが楽しいのは“たしかに”わかるけれど、ご飯が冷めるから早く食べなさい」

ケース3:「親:ゲームが楽しいのは“たしかに”わかるけれど、ご飯が冷めるとおいしくなくなるから、早く食べてくれるとうれしいな」

このような会話は、日常でよくあるのではないでしょうか。

ケース1は、自分の意見(親の意見)を一方的に伝えるドッチボール的な会話になります。

ケース2は、「“たしかに”+“しかし・でも”」を活用した会話例です。子どもがゲームで楽しんでいることをまず受け止めてから、自分の意見(親の意見)を主張しています。

ケース3は、「“たしかに”+“しかし・でも”」+「Iメッセージ」を使った会話例です。Iメッセージは、「わたし」が主語になるので、「早く食べてくれると(わたしは)うれしいな」というように「私はこう思っているよ」という言い方になります。

もし、子どもの立場だったら、どのケースで会話をしてもらうと、早く夕食を食べようと思うでしょうか。きっと、親の立場だと、現実には、ケース1の場合が多いのかもしれませんね。

では、もし、子どもたちが、親子との会話などにおいて、この「“たしかに”+“しかし・でも”」という一文を活用するようになると、どのように思われるでしょうか。

例えば、

「お母さん(お父さん)の意見は“たしかに”正しいように思う。“でも”、自分は○○だと思うんだ」

というように子どもたちから言われたら、もしかしたら、「何を反論して」と思われるかもしれません。

でも、子どもたちがこの一文を交えて会話できるということは、大人に向けて成長しているような感じもします。なぜなら、会話の中で「“たしかに”+“しかし・でも”」
を使えるということは、自分の意見をもたずに、相手の意見に何でも従っているわけでもなく、自分の意見を一方的に伝えるわけでもなく、相手の話していることをしっかり受けとめるとともに、自分の意見も述べていることになるからです。

自分の意見を述べるということは、自分で考えていることでもありますし、発言するには勇気も必要となりますから、自立した人財へと成長していくことにつながっていくと思います。

社会人になると、企業内での会議などにおいて討論する場があったり、企業内外で、自分の考えや提案をプレゼンテーションする場が多くあります。子どもの頃から、相手の意見を受けとめるとともに、自分の意見も発言する

「“たしかに”+“しかし・でも”」

を使った会話を経験していると、社会人になってから建設的なコミュニケーションを発揮することができるのではないかと思います。