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「表現力」の乏しい現代っ子たち

「やばい」「微妙」「かわいい」の多用は要注意!

先日の塾での出来事。

友だちの装飾携帯電話(デコ電)を見て「かわいい!」と女の子がひと言。

老眼の私は細かい部分がよく見えず、眼鏡を外すと…

「先生、眼鏡はずしてる!かわいい!」

私は装飾電話と同じ表現をされてしまいました。

最近特に感じることが、この子のような「かわいい」や「微妙」、「ヤバイ」と同じ言葉でいろいろなことを表現する子どもが多くなっていることです。

「今日のテスト、どうだった?」→「ヤバイよ」
「このカレー、どう?」→「ヤバイわ」

みなさんはこの会話で、テストができたのかできなかったのか、
カレーは美味しかったのか美味しくなかったのか、わかりますか?

文字だけで見ると、表情や言葉の抑揚などがわからないため、
どちらなのかを判断することは難しいです。

では、なぜ子どもたちは同じ言葉をいろいろな場面で使うのでしょうか。

その答えは簡単です。

どう表現すれば良いか考えずにすみ、また便利だからなのでしょう。

相手にわかってもらえるように考え、それを表現するためにどんな言葉が適切かを判断することは容易なことではありません。

現に大人でさえ、年を重ねるごとに脳に新しい思考回路を作ろうとせず、
もともとできあがっている思考回路を使おうとする傾向があるくらいですから。

例えば、森の中を想像してください。

人がたくさん通るところに道はできますが、
その道を通る人が少なくなってくると草が生い茂って道がなくなってしまいます。

そのため、わざわざ草の生い茂っているところを通ろうとはせず、
草の生えていない、通りやすい道を自然と通るようになります。

これと同じようなことが子どもの脳の中で起きているのかもしれません。

「微妙」という言葉の回路をたくさん使うことで道ができ、それを使い続けることで通りやすい道となり、それ以外の道、つまり他の言葉の回路を使わなくなってしまうのでしょう。

こうした同じ言葉しか使わないことで起こる語彙数の少なさ、また語彙数の少なさから生まれる表現力の乏しさは、現代の子どもたちが抱える問題の1つかもしれません。