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学力調査で見えてきた「格差」

学力調査の結果から見えることは?

学力調査の結果が10月24日に全国一斉に発表されました。日本全国のすべての学校に同時に届くように手配したようで、それなりに調整が大変だったようです。各自治体では、今回の発表を受けて、いろいろ対策を考えるために8月の終わり頃から待っていたようですが、2ヶ月以上の遅れにかなり困っているようです。
診断と治療に生かすという意味では、卒業までに残された時間はわずかになってしまいました。その上、個人個人の結果を担任の先生が分析するだけでも大変です。
学力調査の結果としてすぐに見えて来たことは、今までの様々な調査でいわれたことと同じで、特別に新しい発見はなかったようです。

「学校のきまりをよく守っている子どもは、正答率も高かった」ということを指摘している新聞社がありましたが、これなどもどちらが先かは不明であり、ただ対応しているということだけです。つまり、学力のある子どもたちは学校のきまりをよく守るという行動をとっているということです。
「学力が高いから、学校の決まりを守ることができる」かも知れませんし、「学校のきまりをよく守ることによって、学力も伸びる」かも知れません。それは、どちらが原因ということではないように思われます。ただ、子どもたちの生活習慣と学力に相関関係があることだけは確かのようです。

文部科学省の発表では県ごとのデータが発表されたために、成績の良かった秋田、富山、福井など、また成績のよくなかった沖縄、高知、鹿児島などが取り上げられ、格差の問題が多少強調されていました。
格差という点では、各県ごとの平均点は、案外とぶれが少ないように思われました。勿論、平均ということではそんなに大きな差が出ないのだと思われますが、市区町村単位まで細かくして各学校ごとに見てみるとかなりひどいところがありそうです。
また、大都市周辺には私立や国立の学校が沢山存在していますので地域格差は厳然と存在しているのだと思われますが、公立の学校と私立や国立の学校の差の大きさにはびっくりしました。

いずれにしても、かなり詳細なデータが得られたわけであり、今後の学力問題を考えていくためには、かなり有意義なデータであることは確かです。
しかし、これから継続していくことによって初めて活用できるデータもあり、どう活用されるかによって、この調査が生きるかどうかが決まってきます。

あたかも調査の結果を待っていたかのように、中教審の教育課程部会の審議を経て、中間まとめが出ました。そこでは学力調査の結果も踏まえながら、基礎的基本的な知識・技能の確実な定着とそれを活用できる力をいかに付けるかが強調されています。そして、平成元年の教育課程の時よりは若干少ないものの、主要4教科と体育の授業時間のかなりの増加が具体的に明示されています。今後、更に具体的に論議され、来年の1月頃には参集答申としてまとめられるようです。

ところで、この中間まとめでは、道徳教育の充実のための「道徳の教科化」についても言及されていますが、道徳の教科化はかなり高度で政治的な課題であり、年明け頃に予定されている教育再生会議の報告ではまた取り上げられそうで、今後どうなるかは一応は未定のようです。
子どもたちの基礎学力の低下や規範意識の低下が叫ばれていますが、マスコミをにぎわせている防衛省の前次官の生き方や、赤福餅はじめとする企業のいろいろな売るための違法な行為を見ていると、子どもたちよりも大人たちの基礎学力や規範意識のほうが問題だと思われてなりません。

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