子どもを見守る、親としての心構え
気配り=愛情?
「そっ啄同時(そったくどうじ)」という言葉があります。
卵の中のヒナが、殻を破って生まれ出ようとするときに、その内側からヒナがコツコツとつつくことを「そつ」と言い、ちょうどそのときに、親鳥が外から殻をコ ツコツとつつくのを「啄(たく)」と言います。そのタイミングが一致して初めて、ヒナは一羽の鳥としてこの世に誕生するそうです。
卵の中のヒナが「外に出たいよ、コツコツ」と殻をつつく頃合いに、親は気づいてあげなければなりません。そのために、親鳥はいつも卵のことを気にかけて見守る必要があります。
過剰な気配りを『子への愛情』と勘違いしているケースがあります。
「外は寒いからこれを来て行きなさい」
子どもが「寒い」と言う前に厚着させる必要はありません。
「そんな格好していると笑われるわよ」
人から笑われることで、世間の常識とか個性とかを身をもって知るのです。
「成績が心配だから塾に行ったらどう?」
安易に塾に頼る前に、家庭でできることを考えてみましたか?
「わが子のため」という思いが、わが子の自発性を奪ってしまい、「わが子に失敗させまい」という気遣いが、わが子を萎縮させていることに気づいてください。
反対に、わが子の心の声に気づこうともしない親もいます。
「いじめにあっている」
「もっとかまってほしい」
「志望校を変えたい」
「容姿にコンプレックスがある」
わが子が自分の口から言い出せないときは、親からコミュニケーションを図る必要があります。子どもは口ではエラそうなことを言っていても、親からどう言い返されるのか心配で言い出せないからです。
また、しつけのタイミングも大切ですね。
子どもがよその家庭のことを持ち出しても、「よそはよそ、うちはうち」と言い切って、自分が親からしつけられたことをわが子に強制してください。しつけに理由なんて必要ありません。
ある高校生の母親が相談に来ました。
娘のブランド品の持ち物が急に増えたことと、不規則な生活が心配になって携帯を調べたら、援助交際をしていることがわかったそうです。
娘さんを問いただすと、
「誰にも迷惑かけていないのに何が悪いの?悪いのはお金をくれる大人の方でしょ!」
と開き直って言い返す始末。そうなんですよね、いちばん悪いのは少女を買う大人たちです。
でも、「誰にも迷惑をかけなかったら、何をしても良いのか?」。これは親が答えに困る質問のひとつですね。
家庭に信仰が根付いている国だったら「神様がお許しになりません」でいいのでしょうが…。でも、“いつも神様が見ている国”で、どうして犯罪や戦争がなくならないんでしょうかね!?
性を売り物にすることがどうのこうの、人間としての尊厳がどうのこうの、そんな理屈を考えたり言ったりする必要はありません。あなたはお父さんとお母さんの大切な娘だから、ダメなものはダメだ、とキッパリ言ってあげなさい。
何事もなく、竹のように真っ直ぐに伸びていく子どもなんていません。悪さをしたり、予期せぬ何かを引き起こすのが子どもです。
でも、最悪の事態になる前に親が気づいてあげる、気づくのが遅れても最後までわが子を見放さない、それが親としての心構えです。
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