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協調性と発言力を伸ばす!
話し合いのルール

意見の述べ方を身につけさせよう

1.授業の動機
低学年で話し合いを設けると話し合いが成立せず、どのように意見を言えばいいのかが分からなくなり、話し合いが続かないことが多々あります。
そこで「活発な話し合い」をするためには、話し合いを成立させるための「ルール作り」が必要であると感じました。
今回は、話し合いを成立させるためのルール作りを、“学級文集の名前決め”という議題の中で実践することにしました。

2.授業の実際
<1>めあてを確認し、何も指導していない状態で、思い浮かんだ学級文集の名前を挙手でどんどん挙げさせます。
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・きらきら2年4組    ・2−4の思い出      ・いつも明るい2−4
・いつも元気な2−4  ・思い出いっぱい2−4  ・みんな楽しい2−4
・やる気きょう力2−4
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以上の7つが挙げられました。ここで一度話合いを切ります。

<2>話し合うときのルール指導をします。
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ア)話したい時は、手を挙げ、指名されてから話す。
イ)結論を先に話し、一度文を切る。(立場を明確にするため)
ウ)理由を必ず話す。
エ)発表した意見に賛成の場合は、「いいと思います」と言いながら拍手で称賛する。
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まずは、以上の4点をルールとして提示し、話し合いの場を設けました。よって、発表する時のモデルは、
「私は○○がいいと思います。理由は〜だからです」
となります。

3)前の人の意見を受けた話し方を指導します。
上記のルールだけでは、それぞれが言いたいことを言うだけで深まりがありません。よって、さらに以下のルールを追加しました。
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オ)手を挙げるときは、前の人の発表を踏まえ「付け足します」「他にもあります」を言うようにする。

カ)エに伴い、発表する時の話型のモデルは「私は○○さんの意見に付け足します。理由は〜だからです」「○○さんは●●と言っていたのですが、私は▲▲がいいと思います。理由は〜だからです」とする。
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4)意見を変えるときの指導をします。
話し合いが進み、『きらきら2年4組』がいいと言っていた児童が、何の前触れもなく『2−4の思い出』の賛成意見を述べ始め、他の児童から指摘を受けました。そこで、さらにルールを追加します。
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キ)意見を変えるときは、手を挙げる時に「意見を変えます」と言い、変えた理由を言うようにする。
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以上、7つのルールを教師主導の話し合いの中で指導していきました。話し合いの中で意見が出ないものについては、理由がないものとみなし、候補から外れることも伝えます。
そして、みんなの話し合いで1つに絞っていかなければならないことを指導しました。これにより誰が何に賛成なのか、また、どのような理由を考えているかが明確に分かり、候補が徐々に絞られていきました。

5)譲ることの必要性を指導します
最終的に、『2−4の思い出』に賛成意見が集中し、称賛する拍手から見ても、クラスのほとんどが『2−4の思い出』に賛成という状態になりました。
しかし、『きらきら2年4組』と『やる気きょう力2−4』を最後まで理由もなく推そうとする児童がいました。

そこで、

・自分の意見が選ばれるようにするためには、みんなが納得できるような意見を言わなければならないこと。
・みんなで話し合って1つ決める時には、譲る気持ちも必要であること。

以上の2点を指導し、話し合いを再開させました。すると「意見を変えます」と手を挙げ、『2−4の思い出』に意見を変える児童が現れました。意見を変えたことをみんなで褒めるようにしました。
すると、他の譲らなかった児童も進んで意見を変え、学級文集の名前は『2−4の思い出』に決定しました。

3.成果と課題
ルール作りを行ったおかげで、話し合いの流れをつかみやすく、発表しやすい環境を作ることができました。
話し合いの中でルールを追加していくことで、話し合いの交通整理ができ、児童もルールの必要性を感じながら取り組めたのではないかと思います。
しかし、譲る児童の心情も考慮しなければならないため、譲ることの良さを知らせたり、それを称賛する学級の雰囲気作りをしたりすることが大切であることを強く感じました。