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子どもの心と頭を育てる、お手伝いのチカラ

お手伝いの意味とは?

「何かお手伝いしている人?」と聞くと、たくさんの手が挙がります。
しかし、毎日はお手伝いをしていないようです。子どもはまさに気まぐれで、好きな遊びやテレビなどを優先してしまうようです。

また、子どもはやる気満々でも「自分でする方が楽だから」「子どもにさせると後片付けが面倒」という保護者も少なくありません。
確かに、経験の少ない子どもはまだまどろっこしくなるほど不器用に見えることもありますし、大人1人でてきぱきと仕事を進めた方が早い場合も少なくありません。

しかし「食」に関わる子どものお手伝いと言えば、調理させるだけではありません。
たとえば「ごはんだよ」と家族みんなに知らせることも、大切なお手伝いです。これなら小さな子どもにもできます。

お手伝いをすることによって家族の一員としての自覚が芽生え、また自分もみんなの役に立っているということを実感します。
人の役に立っているという実感が、「自分は大切な存在である」という満足感になります。
何もお手伝いをしていない子どもが今は増えていますが、お手伝いをすることで子どもが得ることは大きいのです。
まずは「ごはんだよ」と家族に知らせる仕事を子どもに与えてみてはいかがでしょうか。

調理などを手伝った場合には、子どもにはどんないいことがあるでしょう。
私は「手を使う」ということは大切なことだと思っています。子どもは小さなときから飽きもせずに紙を破いたりします。同じ紙を何度も何度も破きます。

これが発展して、切るということにつながります。はさみを持って、紙を切ります。
最初は出鱈目に切っているのですが、だんだん動物や花など意味を持ったものを作ろうとします。

そして、日常から目にするお母さんの包丁にも目がいくようになります。
鮮やかにも見えるお母さんの『包丁さばき』。自分もあんなふうに切ってみたいな、と子どもはそう思います。
そこで、「危ない」と言って遠ざけてはいけません。刃物を安全に扱うことも大切なことです。

以前の学級の子どもたちにじゃがいもの皮をむかせたことがありましたが、2人の女の子は実に鮮やかに包丁を使ってむきました。
これは少しずつ段階を踏んで、家庭で安全な包丁を教えたいい例です。

さて、私は包丁を使わせるとき大切にする言葉があります。
「左手は猫の手だよ」(右ききの場合)

猫がニャーオと鳴くときのように指をぴんとせずに左手をまるめて、食材を押さえることを教えます。
これで小学生はストンと落ちます(幼児も同様です)。

包丁を使うということは子どもにとってはいくつもの段階を経た実に難しいことです。
でも「やりたい」というときがチャンスです。安全な扱い方を教えてあげることです。
これがライフスキル、生きる力となります。また、手を使うことは脳にいい刺激ともなるのです。