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自信を持って自分を語れる子に育てるヒント

努力することで自信が生まれる

A君は陸上部に所属し、進学する生徒が少ない学校に通っていました。
彼は、高校で2つの目標を立てました。1つは「インターハイに出ること」。もう1つは「大学に進学すること」でした。

高校2年まで、彼は短距離走でインターハイ出場をわずかな差で逃していました。
そこで、彼は2年生の後半から、朝6時前から始業時刻までの朝練を開始しました。
それまで彼は朝、数少ない進学課外を受けている生徒の1人だったのですが、「どうしてもインターハイに出たい」という理由から、練習を選びました。

さて、彼が一味違うのはここからです。
彼は、インターハイに向けて練習は始めましたが、進学に向けた学習もおろそかにしたわけではありません。
毎日数学と英語を家で学習してきて、ノートの添削をお願いしたり、質問しに放課後職員室へ行き、それから放課後の練習に行っていたのです。
周りに大学進学希望者が少ない中、意欲を維持するのも大変だったのではないかと推測されます。

3年生の6月、県大会のときが来ました。
2年間インターハイ出場を逃した彼が、どのような心境だったかは分かりません。
それまでの苦労や努力、様々な思いが胸にあふれてきたことでしょう。
競技場で多くの人が見守る中、結果は…なんと、彼は1位でゴールし、インターハイへの切符を手に入れたのです。

さて、その結果が出た後のことです。
彼のチームメートと、彼を応援に来ていた生徒たちが、全員で彼のところに駆け寄り、泣いて喜んでくれたのです。
周りの生徒たちも、彼の努力の大きさを知っていて、彼の成功を喜ばない生徒は1人もいなかったのです。

どうでしょうか、もし彼がすごい才能を持っていて、当然のごとくインターハイに行ったとしても、そこまで周囲を感動させることはないのではないでしょうか。
高い目標を立て、それに向けた努力を、結果が出る出ないに関わらず続けた人は、誰もが応援したい気持ちになるものです。

彼はインターハイ後は学習を続け、学力でF大学に合格しました。
進学する生徒が少ない学校からはなかなか合格できないレベルの大学です。
このときも、教職員はもちろん同級生も、心から喜んでくれました。何といっても、3年間の努力の積み重ねの結果なのですから。

このような努力を続けてきた人が、将来生徒たちが希望する会社の面接試験で隣に座っているかもしれません。
そのとき、「自分は…ということをやってきて、…ができます」
というふうに、自信を持ってこれまでの自分を語り、自分がやれることを語れるようになってほしいと思います。

努力の多さは自信につながります。
むしろ、努力して得られる結果よりも、努力できたことそれ自体が、今後の人生には大きな意味を持つでしょう。
なぜなら、1つの目標をクリアすれば、次の目標が生まれてくるのが私たちの人生だからです。