言いたいことを理解してあげる大切さ
「理解される喜び」を子どもに教える話の聞き方とは?
ドアの閉まりかけた電車に、駆け込み乗車をしてきた若い男の人がいました。
彼は案の定、ドアに挟まれました。
再度ドアが開き、電車に乗り込み、何事もなかったかのような顔をして隣の車両へと歩いていってしまいました。
私は心の中で「あの人恥ずかしかっただろうな〜」とニヤッとしてしまった時、私の隣に座っていた幼稚園生くらいの男の子が、「あの人大丈夫かな〜痛くなかったかな〜」と本当に心配をしている声でお母さんに話しかけ、彼が隣の車両に移るまでずっと心配そうな視線を送っていました。
ニヤっとしてしまった自分をなんとなく恥ずかしく思いました。
その後もその子はお母さんに、昨日読んでもらった本が面白くて先が気になっていること、幼稚園での出来事、などたくさんお話をしていました。
お母さんと男の子の話す分量は1:9くらいで、
圧倒的に男の子が話している時間が長いのです。
お母さんは男の子の話に「そうなんだ」「それでどうしたの?」「それは楽しみだね」「そうだったんだ」と相づちを打ったり、話を促したりしているだけなのです。
「聞く」という行為に徹しているように感じました。
会話が進む中、男の子が「お外ではわからなくなるのに、
おうちの中ではわからなくならないのが不思議だね」と言い出しました。
隣で聞いていた私は「それってなぞなぞ?」と聞きたい衝動にかられたのですが、その子のお母さんは「お外では何がわからなくなるの?」と質問を始めました。
男の子の説明を聞き、また分からないところを、お母さんが質問をしていくという会話が続いて行くうちに、「お外では迷子になることがあるけど、お家では迷子にならないことが不思議」と思っていることがわかりました。
話の途中に男の子の話し方が早くなったり、トーンが落ちたりして、イライラ感をかんじましたが、お母さんは常に落ち着いてゆっくりとした」口調で話していました。
男の子はお母さんが話を理解してくれたとわかった時、声のトーンが明るくなり、お家の中で迷子にならないのはどうしてかということについて、お母さんと意見交換をしていました。
お母さんも男の子も楽しそうでした。
小さな子と話をしている時に、「わけのわからないことを言いだした」とか「めんどくさい」とか、「聞いたところでこの子はまだ説明の力を持っていない」などという気持ちがモクモクと湧いてくることがあります。
しかし、理解しようとすることは子どもが「理解される喜び」「相手を理解する方法」「相手に自分を理解してもらう為の方法」等を学ぶチャンスなのではないでしょうか。
息子への私の行動を見直す機会になりました。
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