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脳の発達に合わせたしつけをしていますか?

生まれてから小学生までの間はとにかく遊びを体験させる

子どもの脳を賢く正常に育てていくために、まず脳がどのような過程を経て成長していくのかを、わかりやすくお話しようと思います。

人間の脳は主に3つの構造で成り立っています。

後頭部の下から首にある「脳幹」
その上にあるのが「小脳」
そして一番大きな部分が「大脳」と呼ばれているものです。

大脳はその機能の違いから、大脳辺縁系「後頭葉・側頭葉・頭頂葉」と前頭前野「前頭葉」に分かれます。

脳幹は動物の生命維持装置とも言われています。この部分が、心臓を動かしたり、呼吸をするための臓器を機能させたりする役割をしています。
また、その形が爬虫類の脳と同じ形をしているので、動物の進化の過程で最初に作られた脳だとも言われています。
それを証明するように、生まれてくる赤ちゃんの脳幹は、すでに十分な発育を遂げています。
そうでないと、心臓や呼吸などの生命維持が困難になりますからね。

人間の脳の発育過程において、何よりも早く一番にこの脳幹が育つのです。

脳はお母さんのお腹にいるときから活発に働いています。

なかでも「小脳」は、基本的な運動神経を司る脳とも言われています。
赤ちゃんが、言葉を話すよりも先に、手足を動かしハイハイをして、立って歩けるようになるのはこのためです。

そして次に「大脳辺縁系」です。

この部分は、子どもの好奇心による行動から、知覚、思考、推理、記憶などを体全体で感じ、その感情を表現する働きをします。
そうすることで、「尖ったものを触ると痛い」というような、触感と感情を結びつける神経回路が出来上がり、次からは「尖ったものは触らない」というような学習ができるわけです。

そして最後に、感情や衝動などを制御し高度な思考機能を備えた「前頭前野」が発育していくのです。

大人になり分別がつくようになると、この前頭前野が理性を働かせ、自分の欲望や衝動を抑える働きをするのです。
いわゆる大人の脳というわけです。

すでにお気づきだと思いますが、このように人間の脳は、後ろから順番に発達していきます。
この前頭葉は15歳前後でその発育時期のピークを迎えると言われています。
前頭葉は、感情をコントロールしたり、高度な思考をする役割を果たしています。

法律で少年保護法というものがありますが、脳の発育上、感情をうまくコントロールできない子どもを法律で守るというのは、この脳の発育上の問題でもあるのです。

したがって、小学生ぐらいの子どもが、自己中心的で、感情をうまくコントロールできないというのは、脳の発育過程においては、ごく普通のことなのです。
ですから、お子さんの「年齢や時期に合った育て方が大切ですよ」ということです。

例えば、小学生低学年のお子さんに、「怒っちゃいけない!」「泣くのはダメ!」「悔しいのは我慢しなさい!」と自分の感情を抑圧することを要求するのは、とても難しいことです。
まだ理性をコントロールする「前頭前野」が十分に発育していないので。
それでも、毎日それを強要されていれば、やがてその子の脳は、自分でコントロールする術を身に付けていきます。
しかしそれは、その不快な状況から逃れるために自己防衛本能が働いて、自分に無理をして演じていることが多いのだそうです。

つまり、本来の理性の部分(前頭前野)で抑えているわけではなく、心理学的な表現を使えば、もう一人の別の人格が現れて、本来の自分の感情を抑え込もうとしてしまうわけです。
こうしたことが幼少期に繰り返し行われていると、その子が大人になったときに、人格障害やアダルトチルドレンなどという心の問題に悩まされることもあるのです。

生まれてから小学生の間までは、小脳(主に運動中枢を司る脳)と大脳辺縁系(五感で感じること・感情を表現すること・好奇心のままに動くこと)が活発に働きます。
ですから、この時期には、

自然や動物と触れあって五感で感じられるような遊びをさせてあげる。
痛い・悲しい・嬉しい・怒るなどの感情を素直に表現させてあげること。
好奇心のままにいろんな体験をさせてあげること。

そうすることで、脳内の神経細胞がどんどん繋がっていくのです。
これが先ほどもお話したような、本来人間が持っている学習メカニズムなのです。
そうした体験もしないで、ただ「我慢しなさい!」「危ないからやめなさい!」では脳は正常に働かなくなるのです。

子犬のときに遊ばせなかった犬は、大人になっても賢くならないというのは、犬を育てるブリーダーの間では有名なお話です。
人間の場合もまったく同じです。

このように、子どものときに楽しいこと(遊び)を経験していないと、脳は発達しにくくなるのです。

小脳であれば6歳前後、大脳辺縁系は12歳前後、前頭前野は15歳前後と言われています。
その発育のピーク時を過ぎてしまうと、後からそれを取り戻そうとしても、ものすごく苦労しなければならないのです。
だから、脳の発育過程を知って、正しい接し方をしていれば、子どもの脳は自然と賢い脳に育っていくのです。