メルマガはコチラ!

子育てを円滑にする「大人の自立」

祖母の役割

結論から言うと、祖母の役割は「アドバイザー」です。
アドバイザーの基本は「待ちの姿勢」です。相手が相談してくるのを待ち、いざ相談されたら的確な助言を与える。それがアドバイザーです。

ところが、この「待ちの姿勢」が出来ないおばあちゃんは現代では少なくありません。
母親から子育てのアドバイスを求められる前に「それじゃダメ!こうしなさい!」と言ってしまったり、自ら子育てに手を出してしまう、という方が多いんです。
ここには、現代の社会情勢が関係しています。

世界一の長寿大国である日本では医療も発達し、「人生50年」は「人生80年」になり、健康ブームも相まって、おじいちゃんもおばあちゃんも元気モリモリです。体力だけでなく、気力も有り余っています。
それはもう、自分の子育てが終わっても、孫が生まれたら、もう一度子育てをしたくなるくらいに気力が充実しているんです。
本来なら「自分はもう子育てから引退したんだから」と一歩ひいた立場から見れていたものが、「子どもを立派に育てた」という自負とみなぎる気力から、自分自身が前面に出てきてしまいます。
そこから、親から「親の役割」や「親の責任」を奪ってしまっているケースが見受けられるということがあります。
こうなると親は、親として成長する機会を失ってしまうということにもなりかねません。
有り余る気力と体力を、趣味や社会活動などに向けられると良いんですが。


自立と依存

こういったおばあちゃん(もしくは、おじいちゃん)は、母親や父親のことを「自立している」と認めていません。
特に「母」という存在は、自分の子どもを手放したくないものです。それは、自分が何歳になっても変わりません。子どもには、子どものままでいて欲しいんです。
その夫婦のことを自立した存在だと認められないから、指導するなど、口を出したくなるんです。
「自分が口を出さないと、きちんと子育て出来ないでしょう」と。

こうして、祖父母が子育てを親に任せないことで親は自立できなくなり、その親と祖父母に関わられることで孫も自立できなくなるという親子3代に渡る構図が出来上がります。
現代によく見られる「自立できない大人」「精神年齢の低い大人」というのは、こういうところからも現れているワケです。
もしかすると、おばあちゃんもそういう風に関わられてきたのかもしれません。

実は、このおばあちゃんは若夫婦や孫に依存しているんです。自分の存在を認めて、受け入れて欲しいんです。自分の価値を、若夫婦や孫に委ねているんです。おばあちゃん自身も自立していないために、相手に求めているんです。
ただ、自分自身がそうだとは気付いていないんです。
決して悪意があって若夫婦や孫にそうしているワケではありません。そうすることが若夫婦や孫にとって、本当に良いと思ってそうしているんです。


アピール

この親子3代の依存の連鎖を断ち切るには、祖父母を自立させることが必要になります。
それには「私たちは自立しています」というアピールをすることです。必要以上に頼らないことです。そして、隷従しないことです。
つまりは、自分自身がきちんと自立するということになります。

子育てについて自分の意見があるなら、自立した大人として、しっかりとおばあちゃんに伝えてみてください。
言われるままに従っていたり、なされるがままになっているのでは、それは自立と言えません。
かと言って、従わないために反抗しているのでは子どもっぽすぎます。
お互いに自立した人同士の話し合いは、隷従や反抗、指導ではなく、対等な関係になっています。

「子育てについて」の話し合いをするんですから、重要なのは、子どもにとって良いことかどうかです。
決して、自分の意見を通すことが重要なのではありません。
自分の意見を通すためだけの話し合いにしないためには、しっかりと相手の話を聞くことも大事です。
相手の話を聞いて、その上で自分の意見を言って、また相手の話を聞いて、自分の意見を言って…その繰り返しです。
その中で、子どもにとって良いことを探します。

そうしていく内に、おばあちゃんも夫婦のことを自立した存在と受け止めてくれ、体力と気力を自分の余生の充実に向けられるようになっていくはずですよ。