第4回 算数が得意になる一番の方法は、生活の中で数字に親しむこと
私が小学1年生を初めて教えたとき、ある会社の算数の教科書にとても印象的なページがありました。 そのページには、カラフルな写真がいっぱい載っていました。 イラストや文章や式などが多い他のページと違って、そこだけは写真が中心でした。 どの1年生の算数の教科書にも、このようなページがあります。 だいたい、次のような写真が載っています。
◆橋の入り口に立っている「4.5トン」と重量制限を書いた標識
◆ペットボトルの「500ミリリットル」とか「2リットル」と書いてあるところ
◆「30km」「40km」などの数字が並ぶ自動車のスピードメーター
◆0,10,20,30・・・と10飛びで続く温度計の目盛り
◆1日から31日までのカレンダー
◆広告チラシの「とんぼまぐろ100g99円」というところのアップ
◆スーパーマーケットの「20%引き」の表示
◆本のページを表す「235、236」というところのアップ
◆トンネルの入り口の「高さ2m50cmまで」の表示
◆1円、5円、10円、50円、10円、500円などの硬貨
◆1000円、5000円、10000円などの紙幣
初めて見たときは、このようなページに意味があるのかと思いました。でも、やがて、 実は深い意味があるということに気が付きました。
お気づきのように、どの写真も数字に関係のあるものです。それでは、 一体このページのねらいは何でしょうか?
それは、「生活の中で数字を見つけてみましょう」と子供たちに呼びかけることです。 そして、見つけた数字を授業で発表させるわけです。では、なぜこのようなことをするかというと、 生活の中で数字に親しむことがとても大切だからです。 生活の中で数字に親しむことで、数字に慣れていきます。いろいろな単位にも親しむこともできます。 これらのことは、算数の勉強にとって非常に重要です。
例えば、家族で田舎の道をドライブ中に古い橋に差しかかったとします。 そして、その橋の入り口に「4.5トン」と書いてあったとします。 そのとき、ほんの少し教育的配慮があれば、次のような話をすることができます。
◆4.5というのは、4と5の間だよ
◆4の次が4.1で、4.2、4.3と続いていくよ。4.9の次が5になるんだよ。
こういうのを小数というんだよ
◆「トン」というのは、重さを表す言葉だよ
◆1トンは1000キログラムと同じだよ。4.5トンは4500キログラムだね
◆この車は1.4トンだから、この橋を通れるよ。この車3台分は大丈夫だけど、
4台だと橋が壊れるね
子供の理解に応じて、無理のない程度でいいのです。時間にすれば、わずか数分です。
同じように、ペットボトルでかさの基礎知識に触れることもできます。そうすれば、 4年生でかさの勉強をするときに役立ちます。20%引の表示で、 パーセントという考え方の基礎知識に触れることもできます。 そうすれば、5年生で百分率の勉強をするときに役立ちます。
日常生活の中で、このような様々な数字や単位に親しんでおくことで、 教室での勉強がとても楽になります。そして、算数の力は大いに伸びます。
反対に、このような経験が何もない子は、いきなり教室で全く未知のものと遭遇することになります。 これでは抵抗が大きく、苦手意識も手伝って理解に手間取ることになりがちです。
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