第47回 子どものやる気の旬を生かせば自然にお手伝いが始まる
ある日、テレビを見ていたら子育て中のあるお母さんがこう言っていました。
「夕飯の支度をしていると1年生の子どもがお手伝いをしたがるんだけど、あまり役にたたないし、それどころかかえって能率が落ちてしまうのでおもちゃで遊ばせるようにしているんです」
「でも、ただのおもちゃではなくて、
頭がよくなるパズルのおもちゃをやらせているんです」
私はそれを聞いて「もったいないなあ」と思いました。
せっかく子どもがやる気になっているのに、
それを生かさないなんてもったいなさ過ぎです。
もちろん、小さい子に手伝わせるより、
自分でやった方が能率がいいに決まっています。
でも、そういう考えでいると、子どもを伸ばすことはできません。
お手伝いは、家事を能率よくやるためのものでなく
子どもを伸ばすためにある、と考えて欲しいのです。
例えば、子どもが「ニンジン切ってみたい」と言い出したそのときが、
その子のやる気の旬です。
食べ物に旬があるように、やる気にも旬があるのです。
そこで、やらせてあげて、そしてほめてあげれば、
子どもは自信をつけて次のやる気につながります。
それを続けていれば、何年か後には
自然にその仕事ができるようになります。
このように、その子のやる気の旬を生かして、
自然な形でお手伝いができるようになるのが理想的な形です。
その内に、ニンジンを切るのも上手になりますし、
立派な戦力になります。
子どもは、家事が上手になると自信もつきます。
そして、手先を上手に使う力、できあがりをイメージする力、
複数の仕事を平行して段取りよくこなす力、時間を管理する力、
などなど、いろいろな力も身につきます。
集中力、責任感、意志力などもつきます。
だいたいにおいて、親は自分の都合で子どものやる気をつぶしておいて、そして次には自分の都合でやる気にさせようとします。
「ニンジン切ってみたい」というときはつぶしておいて、
「夏休みだからお手伝いさせなければ」とか「3年生になったからお手伝いをさせなければ」などと思い立つのです。
でも、そのときは、子どもの中から出てきたやる気ではないので、
やらせるのが大変になります。
あの手この手を労しても、なかなかやってくれないものです。
そして、「どうしてこの子はやる気がないんだろう」と嘆くことになります。
勉強でもお手伝いでも何でもそうですが、
子どもにやる気を持たせるのは本当に難しいことです。
子どもは親とは別の人格なのですから、そんな簡単に、
親の都合に合わせてやる気を持ってくれるはずなどないのです。
ですから、せっかく子どもがやる気になっている、
やる気の旬であるそのときが大事なのです。
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