第46回 精神的に安定している大人のもとにいる子は、
精神的に安定して気持ちが安らぐ
みなさんは、子どもが同じことをしても、
機嫌のいいときと悪いときではまったく対応が違うということはないでしょうか?
このような気分次第の対応をする大人に対して、
子どもが尊敬の念を抱くということは絶対にありません。
特にまずいのは、切れて感情的な爆発をしてしまうことです。
大人相手ではあり得ないような感情的な爆発も、
子供相手だと平気でやってしまうという親はけっこういます。
子供は弱い存在ですから、その場で反撃してくることはありません。
しかし、必ず何らかの形で親は自分がまいた種を刈り取ることになるのです。
確実に言えるのは、子どもがその大人を見る目が変わり、
切れた大人の価値は確実に下がるということです。
恥ずかしながら、私も、教師としてこれを何度も経験してきました。
大人が興奮していたり、強い態度でいたりするときには、子供は従います。
しかし、そのあと普段の状態に戻ったとき、
子供がその大人を見る見方はそれ以前とは違ってきます。
その子の中で、その大人は人間としての価値がガクンと下がっているのです。
そうすると、その人の言うことにも重みがなくなります。
いくら親がああしなさいこうしなさいと言っても、
子どもは言うことを聞かなくなります。
いくら親が正しいことを言っても、子どもは聞く気になれないのです。
大人同士の関係で考えてみればよくわかります。
自分の気分次第で対応がかわったり、
ちょっとしたことで切れたりするような人の言うことなど、
誰も聞くはずがありません。
人間関係では、何を言うかということよりも、
誰が言うかということの方が大事なのです。
職場でみんなから尊敬されている人が
「みなさん、のりしろのある仕事をしましょう」と言えば、
みんな本当にそうだなと思って実行しますよね。
でも、いつも自己中心的な態度でいる人が
「みなさん、のりしろのある仕事をしましょう」と言っても、
みんな「あなたに言われたくないよ」と思うばかりです。
つまり、言っている内容は正しくても、
言っている人がそれを言うに値する人でなければ聞いてもらえないのです。
大人同士の関係でも親子の関係でも同じです。
そして、長年の教師としての経験で言えることは、
教師にしろ親にしろ、感情の起伏がない大人はそれだけで子どもに幸せをもたらすということです。
精神が安定している大人、
つまり成熟した大人のもとにいる子どもは、
精神的に安定して気持ちが安らぎます。
すると、友達にも優しく接することができるようになりますし、
勉強でも運動でもがんばるエネルギーが湧いてくるんです。
逆に、感情の起伏が激しい大人のもとにいる子どもは、
精神的に不安定になり、友達とのトラブルも増えます。
当然、勉強や運動にも集中して取り組めなくなります。
ということで、みなさん、子どもに何か言う前に、
自分がそれを言うに値するかどうか、自分を振り返ってみてください。
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