第45回 子どもにことわざを教えると生きる知恵が身につく
大人であるみなさんは、いろいろなことわざを知っていると思います。
そして、生活の様々な機会に思い出して、判断の基準にしたり自らを振り返るよすがにしたりしているはずです。
ことわざというものは、とても短い言葉の中に物事の真理、人間関係の法則、人生の知恵などが込められています。
ですから、ぜひ子どもたちにもたくさんのことわざを教えてあげて欲しいと思います。
例えば、めずらしく宿題を忘れた子には「猿も木から落ちる」「弘法も筆の誤り」「河童の川流れ」などを教えます。
毎日こつこつ勉強している子には「塵も積もれば山となる 」と教えます。
よく笑う子には「笑う門には福来たる」と教えます。
何か新しく始めた子には「千里の道も一歩から」と教えます。
やるべきことをやらずにだらだらしている子には「時は金なり」と教えます。
何か悩みがある子には「三人寄れば文殊の知恵」と教えます。
日常の生活の中で折に触れてことわざを教えてあげると、子どもは自分の経験に即して納得しながら理解します。
また、ことわざを扱った絵本、図鑑、学習漫画などを読ませてあげるのも効果的です。
私も教師だったころこういう本を教室にたくさん置いておきました。
すると、子どもたちは先を争うようにして読みました。
普通の本は読まない子もことわざの本は読むのです。
なぜかというと、ことわざには、言葉遊び的な要素もあっておもしろく読めるからです。
そして、自分の経験に照らし合わせながら、子どもながらに「なるほど〜」という感じで読むんです。
ことわざが出ている日めくりもいいですね。
トイレや玄関などに掛けておけば、毎日必ず目にすることができます。
また、私は国語の授業などでことわざのカルタもよくやりました。
これもまた、子どもたちは大好きでした。
30枚くらいのことわざカルタなら、5,6回遊んでいるうちに子どもたちは全部覚えてしまいます。
そのうち、自分の経験をもとにオリジナルの創作ことわざをつくる子も出てきました。
それを自主勉強のノートに書いてくる子や朝のスピーチで披露する子もいました。
このように、あの手この手でことわざに親しめるようにしてあげると、子どもたちは生きる知恵をどんどん身につけて賢くなっていきます。
そして、自分の生活の様々な機会に思い出して、判断の基準にしたり自らを振り返るよすがにしたりするようになります。
何か失敗したときには、「失敗は成功の元」と自分に言い聞かせてがんばることができます。
カッとして誰かに怒りをぶつけそうになったとき、「短気は損気」と自分に言い聞かせることができます。
わからないところがあって先生に質問しようかどうか迷っているとき、「聞くは一時の恥。聞かぬは一生の恥」ということわざを思い出して勇気を出すかも知れません。
友達の陰口を言いそうになったとき、「口は災いの元」ということわざを思い出してやめるかも知れません。
ことわざを1つ知れば、その分、子どもは賢くなります。
たくさん知れば知るほど賢くなるのです。
ところで、大人であるみなさんも、ぜひご自分のためにもう一度ことわざに関心を向けてみるといいと思います。
世の中には、あなたが知らないことわざがまだたくさんあります。
その中のどれかが自分にぴったり当てはまり、生きる指針になるかもしれません。
また、既に知っていて若いころは当たり前と思っていたことわざでも、年月を経たことで、改めてその深い意味がわかるようになるということもよくあります。
秋の夜長にことわざの本を紐解いてみるのもいいですね。
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