第7回 旅行には、地図帳を持って行こう
先日、私は生まれて初めてJRの常磐線に乗りました。「スーパーひたち」という特急で、 茨城県の大甕(おおみか)という駅まで行きました。 その近隣の地区のPTA指導者研修会で講演をすることになっていたのです。
乗っていた時間は1時間30分以上でしたが、全く退屈はしませんでした。 というのも、私は地図帳を持っていたからです。上野駅で「スーパーひたち」に乗り込んだら、 すぐに地図帳を開きました。すると、上野から出て北東に進み、途中で水戸線に合流したら、 東に進むということが分かりました。途中で利根川を渡り、筑波宇宙センターの近くを通り、 霞ヶ浦を右手に臨むらしいということも分かりました。まだ見たことのない景色を想像して、 なんだか楽しい気分になりました。
電車が動き出すと、しばらくは東京の町中を走ります。 千葉県に入ってからも松戸や我孫子などの大きな町が続きます。地図帳を見ると、 その間は、ずっと黄色い色で塗られています。黄色は市街地を表す色ということになっているので、 「なるほど、合ってる、合ってる」とひとりで納得して小さな満足を覚えます。 同時に、「我孫子を超えて利根川を渡ったら田んぼが見られるらしい」ということも分かります。 なぜなら、その地域が地図帳で黄緑色に塗られているからです。
そして、いよいよ利根川です。ここで「おお、これが有名な利根川か!」とひとりで感動しました。 その後、少ししてから予想通り田んぼが多くなってきました。ここでも、「合ってる、合ってる」と喜びました。 土浦を越えたら霞ヶ浦が見られるかも知れないと期待していましたが、眠気に勝てずに眠ってしまいました。 帰りには見ようと思っていましたが、講演の疲れで帰りはずっと眠ってしまいました。 というわけで、常磐線から霞ヶ浦が見えるのか見えないのかは、今後のお楽しみということになりました。
水戸はさすがに大きな街でした。ここに水戸黄門が住んでいたのか、水戸納豆で有名だな、 などとと思いながら地図を見ました。すると、水戸が意外に海に近いことが分かりました。 こういうことは、地図がないと分からないことです。水戸を出て渡った川が那珂川だということも、 地図がないと分からないことです。
このように、地図を持って旅行に行くといろいろと楽しめます。そして、とてもいい地理の勉強になります。 というわけで、私は、みなさんにもお勧めしたいと思います。特に、子供と一緒に出かけるときは、 ぜひ持って行ってください。
地図と実際の土地を見比べるのは、それだけでもいろいろな発見があってとても面白いことなのです。 それに、その土地のことがとても印象に残ります。例えば、利根川を渡るときにも、 初めての人には地図がなければそれが利根川だということは分かりません。 地図を見ていて、初めて、それが利根川だと分かるのです。
さらに、地図によって、もっといろいろなことが分かります。それが鬼怒川と合流していることとか、 千葉県と茨城県の県境になっていることとか、犬吠埼で太平洋に出ることとか、いろいろなことが分かります。 このように、旅行に地図を持って行くだけで、子供に知的な刺激を与えることができるのです。 実際にその土地を旅しながら、楽しみながら地理に親しめるのです。これこそ楽勉です。 それは、教室で地図と教科書を使って地理の勉強をするよりも何十倍もの効果があるのです。
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