親野智可等さんによる「親力」アップのための集中講義
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第8回 自分の価値観を最優先にした子育ての結果とは?

「息子が赤ちゃんの時から、やりなおしたいよ」。私の知り合いのAさんが、 あるとき、私にしみじみ言いました。Aさんは50歳くらいの男性です。

Aさんは、若い頃からなかなかのスポーツマンでした。 特に、サッカーでは地元でかなり有名だったようです。 それで、結婚して子供ができたら、子供にも何かスポーツをやらせたいとずっと思っていました。 できたら、何かのプロスポーツ選手にしたいという気持ちも密かに持っていたようです。

ところが、息子さんはお父さんとは全く違うタイプでした。小さい頃から、 絵を描いたり工作をしたりするのが好きな子でした。Aさんは、 そんな息子さんに不満で仕方がありませんでした。 もっと元気でたくましい子になってほしいと思っていたのです。

それで、幼稚園に入るころから、自宅の庭をウサギ飛びや片足飛びで回らせて鍛えだしました。 巨人の星の影響もあったそうです。陸上教室に連れて行ったこともありました。 でも、なかなかAさんが思い描くようにはいかなかったそうです。

あるとき、息子さんが幼稚園で作った工作が全国コンクールで入賞して、 大きな賞をもらいました。でも、Aさんは、それを認めたくありませんでした。 それで、なんと、賞状をビリビリに破いてしまったのです。褒めるどころではありませんでした。

息子さんが小学生になってからは、Aさんはさらに多くのことを求めるようになりました。 運動会では絶対1位を取るようにと、1ヶ月くらい前から特訓です。 その甲斐あって、1位を取ったときはうれしかったそうです。

3年生の時に、地区のサッカースポーツ少年団に入れました。 もちろん、Aさんの意向だけで、本人の気持ちなど全然お構いなしです。 でも、息子さんは、そのスポーツ少年団に初めからなじめませんでした。 もともと、1人で絵を描いたり何か作ったりしているのが好きな子なのですから、 それも仕方がないことです。練習後にみんなが遊んでいても、息子さんは1人で家に帰ってきてしまったそうです。

でも、Aさんは息子さんの態度が許せませんでした。Aさんにしてみれば、 そういうことはチームワークを乱す行い以外の何ものでもないのです。 Aさん自身が、チームワーク、チームワークと言われて育ったからです。

だんだん、息子さんは練習をサボるようになりました。 学校には同じ少年団の子供たちがいるので、登校も渋るようになりました。 中学生くらいからは、もう全く行かなくなってしまったそうです。Aさんはもちろん、 そういうことを許せるはずもなく、かなりきつく当たりました。でも、すでにどうしようもなかったそうです。

今、息子さんは成人して、1人住まいをしています。長い引きこもりから抜けだし、 アルバイトを始めたそうです。母親とは連絡を取り合っていますが、 父親であるAさんとは、直接のやりとりはありません。

そして、Aさんの冒頭の言葉になるわけです。Aさんは、今ようやく気が付いたようです。 自分の思い込みと価値観を最優先して子育てをしてきたということに。 子供の気持ちや個性を無視して子育てをしてきたということに。

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親野智可等せんせいプロフィール
本名・杉山桂一(すぎやま・けいいち)。1958年生まれ。教師生活23年の経験を生かして発行している超人気メールマガジン『親力で決まる子どもの将来』は、教育関係で群を抜く4万人の読者を持つ。これらをまとめた書籍『「親力」で 決まる!』とその第2弾『「プロ親」になる!』が宝島社より、また、新刊『「かしこい子」になるやわらか親力!』が大和書房から好評発売中。

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▲ 第26回〜はこちら
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第24回 担任の先生となじみになる方法とは?
第23回 あなたは担任の先生となじみになっていますか?
第22回 人生を変えるひどい言葉
第21回 人生を変えるほめ言葉
第20回 相手が本当に喜ぶほめ方とは?
第19回 子どもの立場に立って考えてみると、解決策が見つかる
第18回 『これさえやればすべてうまくいく』という方法はあるか?
第17回 子どもが必要としている言葉を贈るには、どうすればいいか?
第16回 今の今を生きる
第15回 子どもを楽しむ
第14回 双方向メディアで人間関係をよくする
第13回 2年生には2年生なりの人生の思い出がある
第12回 好き嫌いをなくしてやるにも、余裕が必要
第11回 お笑い系の子ども
第10回 高学年の子を読書好きにさせるには?
第9回 自分の子供がかわいく思えない方々へ
第8回 自分の価値観を最優先にした子育ての結果とは?
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第5回 がんばったときのことをいつも思い出せるようにしておくと、自分に対するいいイメージができる
第4回 算数が得意になる一番の方法は、生活の中で数字に親しむこと
第3回 子供のコップの水は少しずつたまる
第2回 子供を伸ばすコツは、ただ1つ
第1回 忙しい朝だからこそ、やるべきこと
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