第10回 高学年の子を読書好きにさせるには?
「子供が高学年になってから、読書の大切さがよく分かった」という話を、多くの人から聞きます。どうも、子供が高学年になると、そう感じる親が多いようです。
それは、次のような理由からです。国語の教科書1つとっても、物語文、説明文いずれも長くなり、内容的にも難しくなってきます。文と文の行間を読み取らなければならないような文章も増え、文章読解力の弱さを痛感させられることになります。
そして、その文章読解力は、一朝一夕で身に付くものではないということにも気が付きます。それで、やっぱり読書が必要だという思いが強くなるのです。
でも、目の前にいる子供は、どう見ても読書が好きという感じではありません。今さら読み聞かせをしようとしても、とても受け付けてくれそうにありません。そこで、もっと小さいときから読み聞かせをやって、読書を好きにさせておけばよかったということになるのです。
では、高学年から読書を好きにさせる方法は全くないのでしょうか?いえ、いえ、そんなことはありません。やり方次第でそれは可能です。
私は、その子が興味のある分野から取り組むのが一番いいと思います。例えば、サッカーが大好きな子にはサッカー少年が活躍するものがいいと思います。それも、まず漫画から始めるのがいいのです。漫画が一番ハードルが低くて読みやすいからです。サッカー漫画に夢中になることで物語のおもしろさを味わうことができれば、それが次の読書につながります。
次の読書とは、サッカー少年が活躍する物語文です。言い換えれば、児童文学です。漫画から文章になるのです。今は、このような子供の読み物はたくさんあります。読書経験が少ない子でも、サッカー少年が主人公なら、かなり感情移入しながら読むことができます。
児童文学以外にも、サッカー選手の伝記などもおすすめです。
また、これらとは別の進み方として、サッカーのハウツー本から入る方法もあります。つまり、子供用のサッカー教本です。これも、実にいろいろなものが出ています。イラストや漫画を駆使して、とても読みやすく工夫されているものがたくさんあります。
このような本には、監督やコーチが教えてくれないことも書いてあります。また、これらの本を元に、自分で練習方法を工夫することもできます。大人に言われた練習ばかりをする段階から一歩進んで、自分で練習方法を工夫する段階へ進むこともできるのです。これは、子供にとっては大きな成長です。子供用のハウツー本は、それを可能にする優れものです。
サッカーを例に取りましたが、これはほんの一例です。ぜひ、子供が興味のある分野の本を与えてやってください。今は、子供用の本がいろいろ出ていますので、大人がその気になって探せばその子に合う本が見つかるはずです。そして、これは、大人にしかできないことです。
このようなことを地道にやることで、高学年の子でも、だんだん読書の楽しさに目覚めていくことができるのです。要は、その子に合った本を親が見つけ出せるかどうかにかかっているのです。
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