第13回 2年生には2年生なりの人生の思い出がある
3学期、特にその後半の時期になると、子どもたちはなんとなく進級を意識します。それは、担任の先生に話しかけてくる子どもたちの言葉で分かります。
担任の先生に「来年も○○ちゃんと一緒のクラスになりたいな」などと言いに来る子もいます。中には、「先生、お願い、○○ちゃんと一緒のクラスにして」とはっきり言ってくる子もいます。
「来年も先生のクラスになりたい」と言ってくれる子もいます。「来年は、□□をがんばる」と言いに来る子もいます。2年生ですと、「来年から理科があるから楽しみ。ぼくは虫博士だからね」と言ってくる子もいます。
このような子どもたちの話を聞いていると、子どもたちは未来に向かって生きているのだな、とつくづく感じます。ところで、そんな未来志向の子どもたちですが、過去にまったく興味がないわけではないようです。
それが、今年、2年生の生活科で「わたしのアルバム作り」をしていて分かりました。
これは、生まれてから今までのことを1冊のアルバムにまとめる活動です。家からいろいろな思い出の写真を持ってきて貼り、余白に思い出を書きこみます。写真がないことについては、自分で絵を描きます。
この授業のとき、子どもたちは家からいろいろな思い出の写真を持ってきました。そして、友達と見せ合いながらおしゃべりに花を咲かせていました。中には、写真を見ながら思い出にふけっている様子の子もいました。私にいろいろと教えてくれた子もいました。
ある子は、友達と2人で写っている写真を見せながらこう言いました。
「これが幼稚園のときのぼくの親友の△△君。すごく気が合ったんだよ」
「へえ、今どこにいるの?」
「静岡だよ」
「え?」
「ぼくは前に静岡にいたんだよ」
「へえ、そうなの?」
「小学校に入るとき、藤枝に引っ越してきたんだよ」
そう言いながら、その子は、じっとその写真に見入りました。きっと、その子のことを思い出していたのです。
私は、このような子どもたちの様子を見ていて思いました。2年生の子には2年生なりの人生の思い出があるのだと。生まれてからわずか8年ですが、それぞれに大切な思い出がたくさんあるのです。
そして、ときどきこのように過去のことを思い出すことはとてもいいことだと思いました。過去を思い出すということは、過去の人間関係を思い出すということです。そのときどきの、人と人との触れ合いやつながりを思い出すということです。懐かしく、愛おしく思い出すということです。
それは、子どもの内面に強く働きかけます。そして、心を育て情操を育みます。
今の人と人とのつながりを大切にしようという気持ちにもつながっていきます。
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