親力集中講義

第19回 子どもの立場に立って考えてみると、解決策が見つかる

宿題の間違いを指摘すると、不機嫌になります。 でも、間違いをそのままにしておくのもどうかと思います。 毎日毎日親子でけんかしながら宿題をやっています。 どうしたらいいでしょうか?

よく、このような質問を受けます。 日々の宿題のことで質問した人もいますし、夏休みや冬休みの宿題のことで質問した人もいます。

講演で質問されたときのように、目の前に質問者がいて、しかも、時間的な余裕があるときは、私は次のように言います。

では、今から少しの間、自分が子どもになったつもりで私の話を聞いてください。 いいですか? あなたは、小学生の子どもですよ。 今、あなたは、一生懸命がんばって漢字書き取りの宿題をやり終えたところです。 ホッと一息ついていたら、そこへお母さんがやってきました。 嫌な予感がします。(笑)

お母さんがノートを手に取りました。 「あ〜、この字違っているじゃないの。あれ、これも違ってるよ。はい、書き直して!」

あなたは、どんな気持ちがしましたか? 心の中の言葉を口に出して言ってみてください。

そして、マイクを向けると、みなさん次のように答えてくれます。

・せっかくやったのに、ガミガミ言わないでよ。
・わざわざ見つけないでよね。
・ちょっとくらいいいところを見つけてくれてもいいのに。
・「宿題がんばったね」くらいのことは、言ってくれてもいいのに。
・合っている字もあるでしょ?

それを受けて、私は言います。 そうです、そうです、その通りです。 子どもたちは、そう思っているんです。 みなさん、よく分かっているではないですか。

ですから、子どものそういう気持ちを理解して対応すればいいのです。 もう、みなさんが答を言ってくれたようなものです。

まず、子どものノートを見たら、まず最初に、次のようなことを言ってあげてください。

・宿題を自分から進んでやれてえらかったね
(がんばって宿題をやったことをほめる)
・この「春」という字の形がいいね。この「道」という字が上手だね
(無理にでも、いいところを見つけてほめる)

その後で、次に進むのです。

・あ〜っ、惜しい、違う字が3つある。どれか分かれば立派!
(このように少しクイズ的にしてみるだけでも、子どもの反応は違ってきます)
・あ〜っ、惜しい、この字が違っている。惜しい!!
(いかにも悔しそうに言ってやると、子どもも悔しい気持ちになってきます)

みなさん、「なるほど」という顔で聞いてくれます。

ところで、これは、1つの例として受け止めてください。 私が一番言いたいのは、相手の立場に立って考えるということです。 とくに、なにかうまくいかないことがある場合は、相手の立場に立って考えてみることがたいせつです。

親としては、子どもの立場に立って、もう一度虚心に考えてみることです。 こういうとき、自分が子どもだったらどんな気持ちになるだろうか? こう言ったら、子どもはどう思うだろう?

これは、私のイチオシです。 いろいろな機会にこれができるようになると、あなたの親力は格段にアップします。 というより、あなたの人間力がアップします。

夫婦関係、家族関係、友達関係、地域の人間関係、会社の人間関係、全てにおいて、格段の飛躍が起こります。 あなたは、もはや1人の偉大な実践的心理学者です。

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