親野智可等さんによる「親力」アップのための集中講義
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第22回 人生を変えるひどい言葉

私には、子どものときに先生に言われた言葉で、忘れられない言葉があります。 ある日、授業中に私が何かの問題に正解したときのことです。 発表して正解したのかそれともノートに書いたものが正解だったのか、どちらだか忘れてしまいました。

とにかく、とても正解者が少ない中で私が正解したときのことです。 なんと、先生はこう言ったのです。 「○○のを見ただろ。お前にそんなことが分かるはずがない」 ○○というのは、私の隣に座っていた子です。 この言葉は、35年以上たった今も、頭の中にはっきり残っています。

何かの飲み会のとき、子どもの頃に言われたそういう忘れられないひどい言葉が話題になったことがありました。

ある人は、親に「お前は信じられない」と言われたことがずっと忘れられないそうです。

なぜ言われたのかはすっかり忘れてしまったそうです。 しかも、言われたのはたったの1回だったそうですが、その言葉ははっきり覚えているそうです。 こういう言葉を1度でも言われたら、言われた方はどうでしょう? 「自分は親に信用されていない」という思いが、頭から離れなくなるのでははいでしょうか。

また、ある人は、子どもの頃「□□を見てみろ」という叱り方をされたそうです。 □□とは、その人の妹です。 その人は、その度に妹を憎たらしく感じたそうです。 未だに、その妹とはぎこちない関係のままだそうです。

また、ある人は、小学1年生か2年生のとき、先生に「△△さん、絵が下手ね」と言われたそうです。 それから、ずっと絵が嫌いになってしまったそうです。

この話題のおかげで、その飲み会は大変に盛り上がりました。 みんなの語り方も、具体的場面の描写が真に迫ってリアルそのものでした。 長い間心にしまっておいたものを、そのとき初めて出した人もいたと思います。 まくし立てるように言い終わって、少しすっきりした顔をする人もいました。 飲み会はただでさえカタルシスのいい機会ですが、その日の飲み会はすばらしい機会になりました。

でも、このような席で話題にできる記憶はまだいい方なのだと思います。 本当は、思い出したくもなくて、心の奥深いところに押し込んでしまっているものがあるのかも知れません。 心の奥深いところとは、つまり、無意識の部分です。

本人も忘れているもの、または、忘れようとしてきたものが、そこにそっくりそのまま残っていることは大いにあり得ることです。 そのような精神的なトラウマが、本人の気づかないうちに、いろいろな影響を人生に与え続けているのかも知れません。

大人の身体的な暴力や虐待が子どもに与える影響の深刻さについては、かなり理解が進んできているようです。 でも、言葉による暴力や虐待も、それと同じくらい、時にはそれ以上に深刻な影響を与えるのです。 このことについては、まだまだ理解が十分に進んでいないように思います。

親や教師は、子どもに向ける言葉に細心の注意を払う必要があるのです。 何気ない一言が、その子の一生を左右することもあり得るのです。 何気ない一言が、親子関係を大きく損なうこともあり得るのです。

言う方は軽い気持ちで言っていても、言われる方は本当に嫌な思いをしているということがたくさんあるのです。 あなたが、子どもに何気なく言っている言葉、からかい半分の言葉、冗談半分の言葉、それらはだいじょうぶでしょうか? 子どもが笑いながら聞いているように見えても、本当は心の中で泣いていることもあるのです。

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親野智可等せんせいプロフィール
本名・杉山桂一(すぎやま・けいいち)。1958年生まれ。教師生活23年の経験を生かして発行している超人気メールマガジン『親力で決まる子どもの将来』は、教育関係で群を抜く4万人の読者を持つ。これらをまとめた書籍『「親力」で 決まる!』とその第2弾『「プロ親」になる!』が宝島社より、また、新刊『「かしこい子」になるやわらか親力!』が大和書房から好評発売中。

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▲ 第26回〜はこちら
第25回 担任の先生となじみになる方法とは?その2
第24回 担任の先生となじみになる方法とは?
第23回 あなたは担任の先生となじみになっていますか?
第22回 人生を変えるひどい言葉
第21回 人生を変えるほめ言葉
第20回 相手が本当に喜ぶほめ方とは?
第19回 子どもの立場に立って考えてみると、解決策が見つかる
第18回 『これさえやればすべてうまくいく』という方法はあるか?
第17回 子どもが必要としている言葉を贈るには、どうすればいいか?
第16回 今の今を生きる
第15回 子どもを楽しむ
第14回 双方向メディアで人間関係をよくする
第13回 2年生には2年生なりの人生の思い出がある
第12回 好き嫌いをなくしてやるにも、余裕が必要
第11回 お笑い系の子ども
第10回 高学年の子を読書好きにさせるには?
第9回 自分の子供がかわいく思えない方々へ
第8回 自分の価値観を最優先にした子育ての結果とは?
第7回 旅行には、地図帳を持って行こう
第6回 授業参観から見えるもの
第5回 がんばったときのことをいつも思い出せるようにしておくと、自分に対するいいイメージができる
第4回 算数が得意になる一番の方法は、生活の中で数字に親しむこと
第3回 子供のコップの水は少しずつたまる
第2回 子供を伸ばすコツは、ただ1つ
第1回 忙しい朝だからこそ、やるべきこと
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