親力集中講義

第23回 あなたは担任の先生となじみになっていますか?

ある友人がこう言っていました。 「家電を買うなら、なじみの電器屋。マッサージもなじみのマッサージ師。俺はなじみを大事にする」

理由を聞くと、次のようなことを話してくれました。 以前、彼は、なじみのない電器屋でビデオレコーダーを買ったことがありました。 そして、その電器屋の店員が彼の家に取り付けに来てくれました。 30分くらいの作業を経て取り付けが終わるころ、彼はあることに気が付きました。

それは、ビデオレコーダーのリモコンが使いにくいということです。 そのリモコンだと、チャンネルを変えるときに1チャンネルから6チャンネルまで順番に切り替えていかなければならないのです。 つまり、チャンネルを1から5に変える場合、1,2,3,4,5と順番に変えていかなくてはなりません。

彼は不便だなと思ったのですが、言い出せなかったそうです。 というのも、リモコンを変えるとなると、ビデオレコーダーもいっしょに変えなくてはならないからです。 すると当然、その店員の30分の作業は無に帰してしまうわけです。

そのリモコンでは操作が不便でどうしようもない、というほどなら言ったかも知れません。 でも、それほどのことではなく、ほんの少し不便だというくらいのことだったのです。

「ちょっと気になるけど、『ぜひとも』というほどではない」というところです。

結局、彼は言わなかったのですが、いざ使い出してみるとやはりかなり不便だったそうです。 「これがなじみの電器屋だったら、あのとき、もっと気楽に言えたのに・・・」と彼は思ったそうです。

その後も、いくつかの機会に、彼はなじみのあるなしの大きさを考えさせられたそうです。 彼の主張をいくつか紹介します。

マッサージも、なじみのところだと、45分コースで48分くらいやってくれる。 この3分が気分的にとても大事だ。

エクステリア業者も、なじみのところだと、細かい注文変更などが出しやすい。 以前、注文したブロックが全部届いて並んでいるのを見て、色が気に入らなくなったことがあった。 1個の見本を見て色を決めたけど、たくさん並べてみると感じが違ってくる。 それで、全部回収してもらい、別の物を持ってきてもらった。 これも、なじみでなかったら言い出せなかったかも知れない。 俺は気が弱いからな。

私は彼の話を聞いて「なるほど」と思いました。 「なじみ」ということは、向こうのためだけでなく、こちらのためにも必要なのだと気が付きました。 電器屋にしろマッサージ師にしろエクステリア業者にしろ、仕事とはいえ結局、人間同士のやりとりなのですから。

そう考えると、親と担任の先生との間にも、こういうことは言えるのではないでしょうか? つまり、担任となじみになっておくことが大切ではないかということです。 担任となじみになっていれば、何かと話をしやすくなります。 子どもの様子で少し気になることがあったときにも、気軽に話をすることができます。

なじみでないと、「ちょっと気になるけど、これくらいのことで言うのも・・・」という気持ちになってしまうものです。

さきほどのリモコンの場合と同じで、「ちょっと気になるけど、『ぜひとも』というほどではない」という感じです。 でも、その「ちょっと気になる」時点で言えなかったために、事が大きくなるということもあり得るのです。 担任となじみになっていれば、そういうときにも話がしやすいというものです。

一般的には、3学期くらいになると誰でも担任となじみになってきます。 でも、もうすぐ1年が終わりという頃になってなじみになっても遅すぎです。 どうせなじみになるなら、もっと早い時点でなじみになる方がいいはずです。 それが、子どものためにもなるのですから。 あなたは、担任の先生となじみになっていますか?

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