親力集中講義

第28回 もっと楽しく子育てするには?その2

人間は誰でも、苦手なことや向いていないことをやるにはかなりの意志力が必要です。

そのためには、内側からの強いモチベーションが必要です。
つまり、自分からやる気になっていないと無理なのです。
それなのに親は、もともと苦手で向いていないことを勝手に押しつけて、子どものためだと信じこみ、途中でやめると何でもすぐにやめる子になるのではないかと思いこむのです。
子どもにとってはいい迷惑です。

そんなことはやめて、その子に向いているもの、もともと好きなもの、やっていて楽しめるもの、無理なく自然に続けられるもの、そういうものに取り組ませた方がよっぽど子どもは伸びます。
子どもは毎日楽しくがんばれますし、生き生きしてきますし、どんどん自信を持ってきます。
自信がついてくるとエネルギーも溢れてきますので、他のことにもがんばれるようになってくるものです。

親の方もほめることが多くなりますし、親子関係がよくなること間違いなしです。
実は、これが本当に大切なことなのです。
子どもの嫌がることを無理強いしてやらせていると、親子関係がまずくなること間違いなしです。

さて、Aさんは早めに気が付いてよかったです。
今、Aさんの娘さんは絵画教室に楽しく通っているそうです。
もともと粘土やお絵描きが大好きで、本人も行きたがったそうです。
もし、この子がもっと頑迷な親に育てられていたらこうはいかなかったかも知れません。

親がいつまでも気が付かないでいて、親子で長い間苦しんでいる人たちがたくさんいるのです。
苦しまなくていいことをわざわざ苦しんでいるのです。
親の思いこみが、無用な苦しみを作り出しているのです。
もっと楽に楽しくやってほしいと本当に思います。

では、マラソン大会はどうしたらいいのでしょうか?
マラソン大会はできる範囲で一応やればいいのです。
マラソン大会ですごくがんばる子にはすごくがんばってもらって、特にそうでない子はできる範囲で一応やればいいのです。
もっと言えば、やり過ごせばいいということです。

人間は、なんでもかんでもがんばることはできないのですから。
大人も、毎日いろいろなことをやり過ごしているのですから。

勉強にしても同じです。
どうしても勉強が苦手というなら、できる範囲で一応やればいいのです。
マラソン大会が全てではないし勉強が全てではないのです。
勉強ができないといって、毎日毎日何年も何年も親子で苦しむ必要などまったくありません。
子ども時代の勉強を全部やり過ごすことにしてもいいのです。
私は本当にそう思っています。

子ども時代に、やってもやっても勉強がなかなか身に付かない子は実際何割もいます。

その場合、親子で苦しんでもしょうがないのです。
苦しむだけ損です。
「佐賀のがばいばあちゃん」は、島田洋七さんの1と2ばかりの成績を見て「足せば5になる。人生は総合力」と言ったそうです。
子ども時代に勉強が全くできなかったのに、大人になって生き生きやっている人はあちらこちらにたくさんいます。

もちろん親としては、体を鍛える意味でも、少しはマラソンの自主練習をさせたいとか、苦手なこともちょっとはがんばらせたいなどと思うかもしれません。
そういうときは、子どももその気になるように働きかけることがあってもいいとは思います。

その場合は、何かほめていい気持ちにさせてやる気にさせたり、成功イメージを持たせてやる気にさせたり、いろいろな方法で説得に努めることです。
セールスマンのような努力や、お目当ての異性の気を引くときのような努力が必要なのです。
それはなぜかといえば、親子と言っても別の人間だからです。
別の人間にその気がないときには、このような説得の努力をするのが当たり前なのです。

そして、その効果が薄れて子どものやる気がなくなってきたら、また説得の努力をするかあきらめるかどちらかです。
そして、いつでも、「親は説得と思っていても子どもは強制と感じているかも知れない」ということを頭に入れておくことです。
決して強制しないでください。
親のあなたが誰かに強制されるのが嫌なように、子どもも強制されるのは嫌なのです。

どうか親の思いこみで苦しまないようにしてください。
多くの親子が、苦しまなくていいことをわざわざ苦しんでいます。
親の思いこみが、無用な苦しみを作り出しているのです。
もっと楽に楽しくやってほしいと本当に思います。

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