第29回 楽しんで身につく「九九なぞなぞ」の思わぬ効果
ある日の講演会が終わって、お世話をしてくれた担当のAさんとお話しました。
Aさんは子育て真っ最中の現役ママさんです。
私の『「楽勉力」で子どもは活きる!』を読んで、目から鱗が35枚落ちたそうです。
なぜかというと、今35才だからだそうです。
それからというもの、私が紹介したものはもちろん、いろいろな楽勉を子どもと楽しんでいるそうです。
中でも、親子で一番盛り上がったのが「九九なぞなぞ」だそうです。
学校の授業参観のとき少しやったのを、家でも続けてやったとのことです。
例えば、次のようなものです。
「感動してサンキューと言いました。すごくうれしかったので、たくさん言いました。何回言ったでしょう?」
「27回!」
「久しぶりに会えてうれしかったのでハローとたくさん言いました。何回言ったでしょう?」
「48回!そんなに言ったら疲れるね〜」
「昨日の午後サッカーをやりました。何人でやったでしょう?」
「午後(5・5)だから25人!」
「動物園にライオンは何匹いるでしょう?」
「…?」
「ヒントです。ライオンのことを別の言い方で言うと?」
「獅子(4・4)だから16匹!」
「五郎さんはお金をいくら持っているでしょうか?」
「30円!」
「ブーッ、五郎じゃなくて五郎さんだよ」
「五郎さん(5・6・3)だから90円!」
「蜂に追いかけられました。何匹の蜂に追いかけられたでしょう?」
「う〜ん、蜂でしょ…」
「『蜂に』追いかけられたんだよ」
「あっ、蜂に(8・2)だから16匹か〜」
親子で楽しくやっているうちにやり方が進化してきて、割り算の問題もできたそうです。
「56匹の蜂はいくつの巣に住んでいるでしょう?」
「8・7・56だから7つ!」
この話をしているときのAさんは、とっても楽しそうでした。
Aさんが言うには、この「九九なぞなぞ」のおかげで、子どもは楽しみながら九九を覚えることができたそうです。
それで、私は、「それにもまして、親子のコミュニケーションを深めるためにも役だったと思いますよ」と言いました。
それは、話しているときのAさんのうれしそうな様子でよく分かりましたから。
テレビのコマーシャルで「今、大きくなっていく君といたい」という言葉を聞いたことがありますが、まさにそれを楽しんでいるという感じでした。
さらに、そのとき言い忘れてしまったのですが、他にもいい効果があったと思います。
それは、言語連想能力とユーモアのセンスを育てるという効果です。
つまり、なぞなぞのような洒落を使った言葉遊びは、1つの言葉を聞いたときにいろいろな言葉を連想する能力を付けてくれるのです。
これは、頭の回転をよくすることでもあります。
そして、ユーモアのセンスも鍛えてくれます。
というのも、1つの言葉を聞いたときにたくさんの言葉を連想できると、その中からその場に合った面白いことを選んで言うことができるからです。
アドリブでどんどん面白いことが言えるお笑い芸人は、この言語連想能力が優れているのです。
このこともそのときに言えばよかったと、後で思いました。
Aさんが、これを読んでくれることを願っています。
もちろん、「九九なぞなぞ」とか「なぞなぞ九九」というものは、以前からありました。
でもAさんのように、親子でたっぷり楽しんだという例はそれほどないのではないでしょうか。
ちょっとしたものでも、やり方次第だなと思いました。
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