第30回 旅行記録から旅行計画へ 〜子どもに旅行計画を立てさせる前にやるべきことがある〜
今年の夏休みにも、親子で旅行したり実家や田舎に帰省したりした人たちは多いと思います。
それに関して、Aさんからこんな話を聞きました。
Aさん親子は毎年旅行に行っているので、今年も行こうと考えていました。
今年はいつもと少しやり方を変えて、6年生の子どもにできるだけ計画を立てさせてみようと思いました。
というのも、家庭教育の雑誌で「子どもに旅行計画を立てさせると頭がよくなる」という記事を読んだからです。
子どもに時刻表の読み方を教えて、予算も教えて、目的地のガイドブックと地図帳も用意して、それらを元に自分で考えさせることが大切だと書いてあったそうです。
それによって、想像力、計画性、計算力、お金の管理能力などが身に付くそうです。
Aさんは実際にやってみましたが、時刻表の見方を教える段階で早くもつまずいてしまいました。
見方を教えても子どもがなかなか理解できなくて、ついイライラして叱ってしまったのです。
これは実によくある話です。そして、いろいろと学ぶべき点があります。
よさそうな情報を得たとき、まず親がすべきことは、それがわが子に合うかどうかを考えることです。
わが子に合わないものなら潔く捨てることです。または、少しやり方を工夫すればわが子に合うようになるかも知れません。
わが子の実状に合わせて簡単にしたりステップを細かくしたりなどの工夫が必要なのです。
大切なのはわが子の実状をよく見ることです。わが子こそが最高の情報なのです。
Aさんの例で考えれば、次のようにするとよかったと思います。
●取りあえず、今年は今まで通り親が主導で計画を立てるようにします
ただし、全てを親が決めてしまうのではなく、子どもと一緒に考える時間を増やすことが大切です。
これで、計画の立て方を学ばせることができます。
●旅行に行くとき、簡易時刻表を持って行きます
「自分たちの乗る電車が時刻通りに出発するか?」「各駅を時刻通りに通過するか?」「目的の駅に時刻通りに到着するか?」などを、親子でチェックします。
私もやったことがありますが、これはけっこうドキドキして楽しいものです。
乗った電車や通過した駅に、マーカーで色を付けていくのもいいでしょう。
これで、楽しみながら時刻表に慣れることができます。つまり、時刻表の楽勉です。
●手帳などに、家を出発した時刻、経路(乗った電車の名前、通った道路やインターチェンジの名前、通過した駅や町の名前)、目的地に着いた時刻、かかった料金、見た物、食べた物、感想などを記録していきます
このような記録を取ることが、計画の立て方を学ぶことにつながります。
さらに、この旅行の記録に写真やイラストなども付けたりすれば、夏休みの作品にすることもできます。これぞ一石二鳥というものです。
8:20出発
↓ タクシー 1140円 思ったより渋滞していて焦った。来年は、もっと余裕を持って出よう。
8:40東京駅着
8:56東京駅発
↓ こだま535号新大阪行き 3570円 駅弁の○○がうまかった。
9:46熱海着
9:58熱海発
↓ 伊東線
このようにすれば、子どもを伸ばす楽勉になるというわけです。
ただし、このようなことが向く子と向かない子がいます。
嫌がる子は向かないので、そういうときはさっさと諦めて旅行を楽しんでください。
無理矢理やらせたら、楽勉でなく苦勉です。
それでは、時刻表や旅行の記録が大嫌いになってしまい、せっかくの旅行も台無しです。
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