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不登校の子ども、支援のカギとは?

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「適応力」と「自律力」の違い

学校や社会は、社会通念上、誰もが適応するのが当たり前という『標準』として存在している世界です。ですから、そこに適応するのは人として必須のことだと、誰もが信じています。

それに対し、塾やお稽古事の教室、あるいはボランティア活動や友だちとの遊びという場は、誰もが適応するのが当たり前の世界ではありません。ですから、やることは個人個人がその中から必要に応じて選べばよく、友だちも気の合う人を選べばよいわけです。そして、選んだ場や友だちとの関係に適応すれば足りるわけです。このように見ると、前者は他律的な場で、後者は自立的な場ということになります。つまり前者と後者は、かなり違う性質を持った世界です。前者に適応するのと後者に適応するのとでは、使う力が違うのです。

前者に適応するために使う力は、好むと好まざるとに関わらず、一律に適応しなければならない世界で使う力ですから、そのまま『適応力』と名づけましょう。この適応力は、おもに『社会→(学校→)親→自分』という経路で与えられるものです。後者に適応するために使う力は、自分で判断する力ですから『自律力』と名づけましょう。この自律力は、主に自分の中から生まれるものです。

「不登校児やひきこもり青年は力がない」とよく言われますが、その場合は『適応力』だけをさしています。しかし今お話ししたように、人の力には2種類あるのです。そして、自分で選んだ場に参加する不登校児やひきこもり青年には『自律力』だけは備わっている、と言えるわけです。

一般に『支援』と言うときには、適応力をつけることをさしていますが、それでは宝の持ち腐れです。逆に、自律力を活かすことを念頭に支援していけば、本人は学校や社会に「支援のおかげで適応できた」ということではなく「自分の力で参加できた」ということになります。そういうプロセスを歩むことができれば、自分の人生への深い納得と、自己肯定感と生きる喜びを得られます。そしてそれこそ、生きる力の源泉なのです。

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ごかいの部屋〜不登校・引きこもりから社会へ〜
子どもの不登校と大人のひきこもりとは…。その心理は…。対応のあり方は…。元当事者の教育相談員が語る体験的不登校・ひきこもり論と解説
  • 発行周期:第2水曜日
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