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「知識だけの子」にしない教育法

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子どもが夢中になる授業

自転車とオートバイの違いを話す問題で、例によって、とことん、追求の目が途絶えるまで、発表をさせたときのことです。
「仮面ライダーは、オートバイに乗るけど、自転車には乗らない」と言ったお子さんがいました。その子が言いたかったのは、「仮面ライダーは、オートバイに乗って格好良く出てくるけれど、自転車に乗っては出てこない」ということなのです。その日は、授業参観でしたから、お母さんは、赤面してうつむいてしまいました。
とかく大人は、構造や原理の違いや用途などから考えますが、こういった発想をできるのが子どもなのです。
もちろん、自転車とオートバイの違いについては『エンジンと人力で走らせる違い』に導きますが、なぜそういった考えが出てくるのか子どもに聞いてみると、本当に傑作な答えが出るものです。
その答えに妥当性があればそういう考え方もあると認め、しかし、この問題の本当の目的は…と順を追って話をすれば、子どもたちは納得し、授業にのめり込んできます。
なぜでしょうか。それは、自分の考えを認めてもらえたからです。

このように、幼児の知識は似ているところや違うところを見つけることから始まります。物事の『類似差異』に気づかせることです。
しかし、これを大人が机の上だけで教えこむようでは、いただけませんね。五感を働かせて、自分で学習することが肝心なのです。教え込まれることは、記憶に頼りますから忘れがちです。五感を通して体験したことは、何かの思い出と一緒に体が覚えます。ですから、忘れにくいのです。
幼児期には自然と接する機会をたくさん作り、話をはずませ、楽しい思い出を残してあげましょうというのは、こういうことなのです。

季節と行事に関する問題

四季を代表する花や行事について。
春であれば、桜、たんぽぽ、チューリップ、おひなさま、入学式、こいのぼり、柏餅などを結びつけたり、年間の主な行事を1月から12月まで絵カードで並べたりする問題です。

変な話を聞きました。
「1月は正月・門松・たこ上げ・羽子板、2月は節分・豆まき・ひいらぎ・いわしの頭・鬼…」
これを、憶えるそうです。何のためかと言えば、試験に出るからだそうです。
季節折々の行事は記憶するものではなく、家族そろって楽しむものです。記憶だけに頼ろうとすると、勉強=記憶となり、次第に苦痛になると思います。
学生時代に覚えた英単語、あんなに苦労したのに、どこへ消えてしまったのかと、しゃくにさわりませんか。それでも、皆さんは目的を持って覚えたのですから、苦痛にも耐えられたわけでしょう。しかし、お子さんには「受験のため」といった自覚はないはずですから、やっかいなのです。
現代っ子は、正月に羽根つき、たこ上げをするでしょうか。
節分に豆まきをして、ひいらぎにいわしの頭を刺して玄関に飾るでしょうか。
女の子のいない家で、ぼんぼり、ひしもち、わかるでしょうか。
端午の節句にしょうぶ湯に入る子も、少ないでしょう。
七夕は、幼稚園での年中行事で済ましていないでしょうか。
迎え火、送り火、精霊流し、やらないでしょうね。
中秋の名月を、すすきとだんごをお供えして、眺めているでしょうか。
大晦日に年越しそばを食べているでしょうか。
季節折々の行事を行わない家庭が、増えているのでしょう。

たとえば端午の節句になぜ、こいのぼりを飾るのでしょう。なぜ、クジラやサメのぼりでは、駄目なのでしょうか。疑問に思わないようです、現代っ子は。
クジラは大きいし、サメは見るからに強そうですが、彼らは主人公にはなれません。こいは非常に生命力が強い魚ですから、こいのように強くてたくましい子に育ってほしいという親の願いがこめられているのです。
こういった行事は、いってみれば『家庭の文化』。家庭の文化はご両親が作るものです。子どもは、ご両親の作った文化の中で育っていきます。ご両親が、季節折々の行事の意味を子どもに教え、一緒に祝い、楽しい思い出として心に残してあげる。一家団欒のひとときが、子どもの情操を培っていくのではないでしょうか。

小学校の入学試験に出るからといって問題集で教え込んだり、ましてや記憶させるなどは、本末転倒な話です。こういった問題が出題されているのは、学校側も知識として知っているかではなく、家庭の文化を見ているのだと思います。
季節折々の行事を楽しんでいれば、問題集はチェックシートの役割をはたし、知識の整理になります。幼児の学習は、かくありたいものです。

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2009さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
小学受験情報収集20数年。大手幼児教室公開テスト説明会/講演会、数千組の親子面接指導を手がけた藤本紀元が、2009年度入試(2008年秋実施)に向け「受験準備の心構え」「入試問題分析」「両親のやるべきこと」等、最新小学校情報を実践的内容でお届けします。
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