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子どもが「良いことをしたい」と思う原動力

がんばりを見てくれている人がいる

私の学級の教室の掃除用具ロッカーの中は、とてもきれいです。
ほうき、ちりとり、バケツがいつもきちんと整理されています。
これはA君のおかげです。A君がいつもきれいにしてくれるからです。

毎日開いて洗う牛乳パック、週に一度洗う給食の盆、どちらも信じられないくらいの美しさで干してあります。
これはB君たちがやってくれています。大人でも、こんなにきれいにお盆を積み重ねるのは無理です。

音楽の授業が終わった後、Cさんが1人残っているので、どうしたのかと見ていると、机の整頓をしてくれていました。
「まかせていいか」と聞くと「いいよ」と言うので、私は職員室に荷物を取りに行きました。
10分後に音楽室を覗くと、まだCさんは机を整頓してくれていました。大事な休み時間、彼女はたった1人で机を整頓するために音楽室にいました。

A君も、B君たちも、Cさんも、その仕事をする係ではありません。でも、一所懸命やってくれます。
そのおかげで「ほんとうにきれいだね」と他の先生に、私たちの学級全体がほめられます。

こうして書くと、A君も、B君たちも、Cさんもみんなすごい優等生に思われそうですが、彼らも含め、学級のどの子も本当に普通の子です。
人気のある給食のおかずは、おかわりを取り合っているし、休み時間は教室の床をころげまわったり、ドッジボールにとび出していったり…。
ただ、どこかで必ず、みんなのためにがんばってくれていることがちょっとだけあるのです。

「音楽室を使った後がきれいなので、他の先生に褒められたよ。誰がやってくれたか知ってるか」とみんなに聞いたら、D君がすぐ「Cさんだと思います」とさらっと答えました。
子どもたちが、良いことをしようとする原動力は、これなのだと思いました。

誰かが見ていてくれて、「君のおかげで…」と言ってくれる人がいること。
日本の人は、人の中で生きて、人の中で幸せになっていくんですね。