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携帯電話の持ち込み禁止、どう思う?

現場からは冷ややかな反応が

【記事】現場冷ややか「もうやってます」 文科省「携帯禁止令」
            朝日新聞(2009年1月31日)より以下抜粋

○携帯電話は、小中学校には持ってこない、高校では校内使用禁止――。文部科学省が30日、こんな内容の「通知」を全国に出したが、都内では冷ややかに受けとめられた。すでにほとんどの公立学校で持ってこないよう指導しており、都教委も昨年アピールを出している。教育現場からは「禁止より、正しい使い方を教える方が現実的」との声が上がっている。

○「文科省に言われる前から取り組んでいる。国の通知によって、特に何かが大きく変わることはない」

○携帯電話を不要物として、校内への持ち込みを禁止してきた町田市教委は、今回の通知を冷静に受け止める。他の自治体教委も多くが、「原則持ち込み禁止にしてきたこれまでと変更はないので、混乱は起こりえない」(新宿区)、「授業に関係ないものは持ってこないように指導している。改めて喚起するだけ」(江東区)と、同様の受け止め方だ。

○都教委が児童・生徒約1万1千人を対象に実施した調査(08年7月)によると、携帯電話を持っているのは小学生38%、中学生66%、高校生96%。携帯電話やインターネットを利用し、何らかのトラブルを経験した子は小学生12%、中学生23%、高校生29%だった。これら実態を踏まえ、今月上旬には、約6万人の全教員向けに、指導資料を配布した。「教育の必要性も重視している」と胸をはる。

○情報モラル教育の指導法について詳しい都立江東商業高校の榎本竜二教諭は、児童・生徒向けの安全教育の教材を印刷物だけではなく、携帯端末でアクセスできるページに作ることや、携帯端末利用に特化した情報モラル教育の指導など、具体的な対策の積み上げが必要だと指摘する。「今求められているのは『禁止』でなく、安全な使い方を確実に子どもたちに身につけさせることだ」

*私からのコメント

◇昨年の12月12日のこのメルマガで、橋本大阪府知事の携帯電話の学校持ち込み禁止の記事を取り上げて、私は、「今回の決定を行うのは、それは、それで致し方ないことだ。出来れば、学校単位で地域の実情に合わせて指導方針を決定してほしいところだが…」とコメントをした。

◇そして「それは、学校から携帯電話を追い出して、それで一件落着としてほしくないということだ。携帯電話でのコミュニケーションのあり方を徹底的に教えてほしい。コミュニケーションツールとしての携帯電話のあり方をこの際、徹底的に学校で教えることだ」と注文をつけた。

◇今や携帯電話は、大人にも子どもに普及し、メール依存症は、子どもにも大人にも蔓延している。これは、私たちの文明のあり方に関わることだ。だから、学校教育で、しっかり携帯電話の作法を教え、携帯電話の自律的な使用を教えることが、重要なのだ。

◇今回の文科省の持ち込み禁止の通達は、1つの段階的決定であってほしいと思う。学校の秩序の回復がなされたなら、次には、携帯電話の積極的な使用法、携帯電話が、本当の意味でコミュニケーションツールとして機能する活用方法の指導に向かってほしい。そうしない限り、学校教育が現実から遊離して、子ども達にとって意味のある空間にはならなくなってしまうだろう。禁止の次に、活用に向かってほしいものだ。