- 「大葉ナナコさん」バースコーディネーターとして活躍。私生活では2男3女の母。日本誕生学協会 代表理事。URL:http://www.tanjo.org/
【CASE8】性器を触る子どもにどう対処する?
性器いじりは通過儀礼?
「5歳の男の子の母親ですが、最近、いつも性器をいじっています。どう話せばいいですか?」。こんな悩みをお持ちの親御さんは多いのではないでしょうか。誰もが一度は悩む“性器いじり”。今回は、子どもの心を傷つけず、繰り返させず、どう対処すればよいかをお話しします。
男子も女子も、トイレに1人で行けるようになるのが、だいたい3歳前後です。「おしっこしたい」と教えるのは、早い子だと1歳半、遅い子だと3歳過ぎてもオムツを当てています。そして、ウンチを1人でふけるようになるのは、どんな子でも4歳を過ぎないとできません。それは手が届かないからです!そして、性器や肛門に手が届きやすくなる時期が、男子も女子も自分の性器をよくいじる時期。心理学者のフロイトは、5歳頃までにも性欲の発達段階があるとしています。
快感の感じ方にも発達段階があり、生後〜1歳頃に見られる、指などをおしゃぶりする行為。この快感を「口唇愛」と呼び、それをしきりに追求するこの時期を口唇期と言います。1〜2歳頃には、大便をためたり出したりすることを好みます。この快感を「肛門愛」と呼び、そのことに執着する時期を肛門期としています。そして3〜5歳に性器を手でいじること、小児のマスターベーションが快感となる時期を男根期としています。
現在、乳幼児を育てている人は、3歳から5歳のわが子がマスターベーションをすることを想像するだけで心配になるかもしれません。私も全国の講演先で、幼児のお母さん方に小声で相談されることも少なくありません。多くの子どもたちが一時期、通過することなので、まずは「いやらしい」などと過剰反応しないことが大切です。ちょっと緊張下にある子どもが、手を下ろしたときにちょうどいい位置に性器があり、手で性器を包みこむと、男子も女子も快感以前に安心感を感じる子が多いとも言われています。命をつなぐ素がそこにあるのですから、無意識のうちに安心感につながるのかもしれません。英国のオックスフォード大学社会人類学教授のシーラ・キッチンガー氏も、「小児のマスターベーションは自分とのセックス」と言っています。これは、“自分を安心させるためのひとつの方法”と受けとめればいいでしょう。「うちの子は幼児なのに快感を求めているのかしら?」と考えてしまうと、子どもの内面に性的欲求が垣間見えて、複雑な気持ちになるかもしれません。でも緊張したときや自分を安心させたいときに、ひとつの手段として、今はこの方法を選んでいるのだと考えて対処するのが大切です。
自分の子どもに合った言葉をつむぐ
性器いじりをする子どもに、「何してるの?」「そんなところ触っちゃダメでしょう!」と叱っても、子どもは罪悪感や親との距離感を感じ、ますます性器いじりを続けるかもしれません。まずは安心させることが大事です。発見しても詰問せずに、「性器は大切なところよ。さわるときは、ばい菌がつかないように手を洗おうね」と言うだけでもいいでしょう。そして、「何回も性器を触ってるね。あの子はオシッコしたいのを我慢しているのかなぁって、まわりの人が心配しちゃうよ」など、他人から見て、性器いじりは心配を誘うことだと伝えるのはいかがでしょうか。
また、一度快感を感じると、意味合いがよくわからずに続けることはあるでしょう。続けている時期が長いなぁと感じるときは、新しいぬいぐるみを与えて寝るときのパートナーに仕立て上げるとか、なにか新しいことにチャレンジさせて他のことに集中させて、興奮と満足を提供するのも有効でしょう。体を動かす場を多く作ったり、自転車乗りや水泳などで「できたね!スゴイ!」と成功体験を持たせて自信をつけてやるのも情緒が安定すると思います。
多かれ少なかれ、子どもは一時的に性器いじりをする時期があることを理解し、子どもをいやらしい目で見たり蔑んだりすることだけは避けましょう。
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