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やりがいを感じさせるピアノ練習法

「頼られている」と思うと、子どもはがんばる

音楽教室の仕事をしていると、電話で子どもさんと直接お話しすることがあります。私は結構それが好きです。子どもが電話口に出てくれるとついついお話ししてしまいます。「ちょっと!!誰としゃべってるの!!」と、お母さんに心配をかけてしまうこともしばしば…(ごめんなさい)。
最近は、マラソンコンサートの出演依頼で子どもさんと直接お話しします。マラソンコンサートとは、1人ずつ弾く、4歳くらいから出演できる街角コンサートのことです。グループレッスンの生徒さんも、この時は1人で弾いてくれます。室内だけでなく、最近では野外で行われるコンサートも増えました。

先日、はじめて「道の駅」でコンサートを行いました。
出演者やご家族の他に、「道の駅」のご来場者もたくさんいらっしゃる中、幼稚園児もがんばって弾いてくださいました。
ところで、お父さんやお母さんは、
「たくさんの知らない人の前で、1曲弾いてください」
ってお願いしたら弾いてくださいますか?
…。いかがでしょう。少なくとも、私は嫌です(笑)。というか、恥ずかしいです。大人がそう考えるのは自然なことだと思います。なので、子どもさんの出演をお父さんお母さんに依頼すると、やはり大抵お断りいただきます。
「お嬢さんに『コンサートに出てみませんか』と聞いていただけますか?」
「うちの子には無理!絶対に出ないって言うに決まっているわ」
って。

そこで、“ご本人に直接尋ねてみたい”とお願いするようになりました。
「おじちゃんのお願いきいてくれるかな?」
「なに?」
「今度マラソンコンサートがあって、エレクトーンを聴きたい人がいっぱい来るんだけど、みんなの前で弾いてくれない?」
「いいよ」
「本当?ありがとう。おじちゃん、出てくれる人を探す仕事してたから、とっても助かるよ。じゃあ、当日までがんばって練習しておいてね」
「うん。じゃあね」
ガチャッ!
「あんた!本当に出るの?どんなところで弾くかわかっているの?」
お母さんは、電話を切った後に何度も何度も子どもに尋ねます。でも、子どもさんは首を決して横に振りません。
実際に練習をするのは大変です。お母さんも大変だと思います。
それでもかたくなに「出る」と子どもが言い張るのには、「楽しい」それから、「頼りにされている」と感じているからだと思います。

「頼りにされている」って、かなり大切だと思うんです。
たとえば、ジュニア専門コースの進級説明会などで、ゲスト演奏を生徒さんにお願いします。これも直接生徒さんにお願いすることがあります。お母さんを通じてお願いするより、その方がOKがもらえる場合もあるんです。
なぜでしょう?

ゲストとして弾いてくれると本当に助かるからです。私たちには決して代わりができません。本当にお願いなのです。その気持ちが、「頼りにされている」と子どもに伝わるのでしょう。
小学校の合唱のピアノ伴奏を依頼されたりするのも同様です。他薦で選ばれたりすると、普段の練習そっちのけで楽譜とにらめっこする子どもさんがいるそうです。「昨日レッスンでいきなり、『先生!来月までに弾かなきゃならないから、テキストはしばらくやめて、こっちを教えて!!』って言われたんだけど、普段からあれぐらいやる気を出してくれたらいいんだけどね…(笑)」
これからの時期、そういう声が先生から聞こえてきそうです。

でも、それくらい、「頼りにされている。役立つ。必要とされる」と感じ、自分の存在価値をピアノやエレクトーンの演奏で確認できることには“やりがい”を感じるのかも知れません。
これは、ピアノやエレクトーンのレッスンや家庭練習にも応用できることだと思います。