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楽しく続けるためのピアノ指導術

生徒が知りたいこととは?

ピアノを教えるということは、ピアノ周辺の、音楽すべてのことを伝えること。ところが、「そこの指づかい、間違ってるよ」「もっと歌わなくちゃ。全然歌えていないでしょ」こういうことを言うだけのレッスン、というのがあるようなのですね。たしかに、いわゆる『間違い』や『足りないこと』を指摘するのも、ピアノを演奏する上では必要です。ただ、それだけでレッスンを終わらせてはいけない。それではただの『診断』にすぎません。

お医者さんに行ったとしましょう。「おや、ずいぶん顔色が悪いですね」「ほほう、熱がありますねぇ」とだけ言われて帰されたら、どんな気がしますか?「いやいや、それはわかってるよ。だからこの熱は何なのか、原因を調べて、クスリでも出してよ」と思いますよね?

ピアノも同じです。たとえば指が回らないとしたら、その原因を究明して、回るようになるであろう練習方法を伝え、課題を克服できるようにする。それが講師の仕事です。指が回らないという『結果』には、必ず『原因』があります。単に物理的に動いていないのか、リズムを理解できていないのか、楽譜をよく読めていないのか。それらの原因によって、『対処方法』つまり『クスリ』が変わってきます。

「あなたの熱は、風邪が原因でしょう。薬も出しますが、暖かくして、十分休養を取って下さい」と言われれば、原因がわかって安心できますし、対処もできます。

原因をはっきりと告げられないこともあります。手が小さいことを悩んでいる生徒に、「あなたは手が小さいから、このオクターブは無理ね」などと、ぐさぐさ刺さるような言葉はタブーです。いろいろと方法はあるわけです。あえてその曲を今は弾かない、ということも選択肢の中にありますしね。