メルマガはコチラ!

怪現象・かまいたちの正体とは!?

『ドラゴンクエスト』にも登場する“かまいたち”

昔から伝えられる怪現象の中に“かまいたち”というものがあります。
日本怪現象ランキングというのがあったら、たぶん“金縛り”と熾烈(しれつ)な1位争いをするであろう、有名な怪現象です(どんなランキングだか…)。

風の強い日に、ふと気が付くと体が切られていて、奇妙なことには痛みも出血もあまりないという不思議な現象です。
かまいたちの話は、その名称は異なれど、全国各地に存在します。この怪現象は昔は妖怪のしわざと考えられており、“かまいたち”とは妖怪の名でもあります。
この妖怪もまた、土地によって多少のちがいがあるようですが、1人目が人間を転ばせて、2人目が鎌で体を切り、3人目がその傷口に薬を塗っていくという、結局お前たちは何がしたいんだという3人組の妖怪がよく知られます。

かまいたちの正体として、強風が起こったときに発生した真空によるものという説がよく知られ、マンガやアニメ、ゲームの世界では、かまいたち=真空刃として描かれることがたいへん多いです。

たとえば、人気ゲームの『ドラゴンクエスト』シリーズでは、真空を発生させて敵を攻撃する「バギ」という呪文があり、これはまさにかまいたちそのものです。
『ドラゴンクエスト4』では、そのバギを使う敵として“かまいたち”という名の敵キャラクターも登場しています。
手塚治虫先生の『ブラック・ジャック』においても、人間や木などが無差別に切り裂かれる謎の事件が発生し、ミサイルロケットの発射による空気の乱れで起こった真空が正体であったというエピソードがあります。

いかにも、かまいたち=真空刃という説が真実であるかのように世間一般に広まっていますが、どうもこれは真実ではないようです。
急激に真空が生じたとしても、それによって人体が切り裂かれるということは考えにくく、かまいたちが真空であるという説は“強風のときに起こる”“目に見えない”という点が真空のイメージに合致しやすいために、広く浸透したのでしょう。

真空以外の説として静電気によるものという説もありますが、かなり強烈な静電気を発生させても、人体を傷つけることは困難であることが実験で立証されています。
まあ、静電気ごときで体が切られたらたまらないですよね。冬にセーター脱いでパチパチしたと思ったら、体が傷だらけになっていたりしたらイヤだし。

かまいたちの正体については現在においても未解明ですが、小旋風が起こったときに、小さな砂粒などで切られるという説が今ではかなり有力なものとなっているようです。小旋風によって高速で飛んでいる砂粒で、スパッと切られるというわけ。
真空説に比べると、「え、それだけのこと?」と思うかもしれませんが、この説だと、いろいろと説明がつくことが多いのです。

かまいたちに遭遇した人は寒い地方に多く、風の強い乾燥した日に発生しやすいと言われています。
そうすると、
・強風のとき、乾燥した日  → 旋風により砂粒が高速で飛ぶ
・気が付くと切られている  → 砂粒なので気が付かない
・痛みが少ない        → 寒いので痛覚が麻痺
・出血が少ない        → 寒いので血流が少ない
というように、説明がつくわけです。

かまいたちの正体については、これからも完全に解明されることはないのかもしれません。
もし発生の瞬間をカメラに収められれば、映像を解析して謎が解明できるのしょうけれど、いつどこで起こるかわからない以上は不可能に近いことでしょう。
まあ、一生に一度でも遭遇する人のほうが珍しい現象ですし、かまいたちについては特別恐れる必要もないでしょう。

それにしても怪現象を妖怪のしわざと考えた昔の人たちって、想像力が豊かで、かつ、怖さとユーモアをミックスさせていたと感じます。
そりゃ、当時としてはほかに説明がつかなかったのかもしれないけれど、未知の存在を受け入れるという精神的・文化的土壌があったんですよね。

僕も、財布の中のお金が気付くと減っているという怪現象について、妖怪のしわざという線で考えてみたいと思います。