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作文が見違えるように上手になるポイント

ついつい使いがちな言葉を見直してみよう

作文が単調になりがちで困っている親子や先生方に、ちょっとしたアイデアをご紹介します。
次の(1)と(2)の作文を読み比べてみてください。

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(1)
今日は、家族みんなで恐竜博物館に出かけました。すごく大きな恐竜の骨とかがたくさんあって、面白かったです。

(2)
家族みんなで恐竜博物館に出かけました。首をそらせて見上げているうちに自分が後ろに倒れそうになるほど大きな恐竜の骨があちらこちらにあって、圧倒されてしまいました。
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明らかに、(2)のほうが優れた作文です。
さて、(2)になくて(1)にあるNGワードは何でしょうか。ぜひ、子どもと一緒に考えてみてください。
「読み比べて違いを発見する」という作業は、作文への意欲を高めるためにとても役立ちます。間違い探しゲームのような楽しさがあるため、どの子も意欲的に取り組むのです。

それでは、順番に挙げてみましょう。
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・今日は   ・すごく   ・とか   ・たくさん   ・面白かった
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以上5つですね。
これらがどのように言い換えられているか、子どもに列挙させてみましょう。次のようになるはずです。

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【NGワード】    → 【この場合の言い換え】

今日は       →  (カット)

すごく        →  首をそらせて見上げているうちに自分が後ろに倒れそうになるほど

とか         →  (カット)

たくさん       →  あちらこちらに

面白かったです  →  圧倒されてしまいました
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いかがですか。同じことを表現するにも、これだけ変えれば印象は大きく変わり、場面が目に浮かぶ文になってくるのです。


「今日は」
これを多用する子がいますが、この言葉は基本的に不要です。たとえば天気予報のように昨日・明日と比較するなら別ですが、それ以外の場合は、だいたいカットできます。特に日記の場合、今日のことを書くのは当然のことですから。

「すごく」
強調表現を「すごく」しか知らないと、非常に貧弱な作文になりがちです。
今回のような言い換え(「首を…」の文)は難しいとお思いになるかもしれませんが、体験を如実に描き出せば、さほど難しいことではありません。
子どもは、この描写を聞いて、なるほどと感じるはずです。このような表現は、1つ1つをマネしながら身につけていくしかありません。ぜひ、マネしてください。

「とか」
通常、「とか」は単独では用いません。AとかBとか、と用います。
また、「とか」は“しゃべり言葉”です。作文の場合は「AやB」「Aなど」という表現に変換しましょう。「AやらBやら」なども、場面によっては使えますね。

「たくさん」
たくさんを使っちゃいけないの?と疑問に思った方もいらっしゃるでしょう。状況によっては、当然使っていいのです。
ただ、多用すると印象を薄めてしまいます。量を表す言葉は他にもたくさんあるわけですから、常に最適の言葉を探すような習慣をつけたいものですね。

「面白い」
これは、今回のNGワード特集の中でもワースト3に入るかもしれません。
できるだけ使わないほうがよい言葉の1つです。状況に応じて、別の言葉を探す必要があります。


さて、次です。また読み比べです。読書感想文の一部分です。

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(3)
主人公のリエが、嵐が近づく中で思い切って船に乗り、冒険に出る場面で、どんな気持ちかなあと思って、ドキドキして、楽しいと思いました。

(4)
主人公のリエが、嵐が近づく中で思い切って船に乗り、冒険に出る場面で、もし自分がリエだったらと考えると、胸が高鳴りました。
不安と期待でいっぱいだろうな。
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これも同様に、(3)のNGワードを選び出してみましょう。

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【NGワード】   → 【この場合の言い換え】

ドキドキ      →  胸が高鳴る

楽しい       →  (カット)

思いました    →  (カット)
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「ドキドキ」
4年生以上の子は、このような「繰り返し言葉」をやめて、別の表現を探すように努力すべきでしょう。
「胸が高鳴る」という言葉は、大人からすれば使い古されている感もありますが、子どもにとっては新鮮な語彙です。使ってみる価値はあります。

他にも、「緊張感が高まる」「胸がしめつけられる」「居ても立ってもいられない」「これまでに感じたこともないような不安」など、いくらでも考えられます。

「楽しい」
子どもは語彙が少ないので、プラスの感情というだけでその全てを「楽しい」や「面白い」に収束させてしまうのです。
この場面ではたしかに「ああ、この本、楽しいな」と感じたのでしょうけれども、そのような「全体的な感想」はあえて書かず、「部分」にこだわって書いていくのがハイレベルな作文に近づくための1つのポイントです。
この場合、冒険に乗り出す場面は不安と期待に包まれていたはずです。場面(部分)にこだわった感想を書いていくと、自然によい作文になるはずです。

「思う」
思ったことを書くのが感想文です。ですから、極端に言えば「思う」の言葉はその一切をカットしてもよいのです。
思う、という言葉を書けば書くほど、その作文が読み手に与える印象は薄らいでいきます。「〜だと思う」と書かずに、「〜だ」というようにある程度「断言」することは、読む相手の心をつかむための大事なポイントです。

ただ、「どんな気持ちかなあ、と思うと」の部分は必ずしもNGではありません。
「ドキドキ」とワンセットなら、素直な表現でよい、という評価になることもあるでしょう。
でも、「胸が高鳴りました」というやや上品な表現につなげるには、「もし自分がリエだったらと考えると」の方が、「どんな気持ちかなあ、と思うと」よりもやはり適切です。

さて、いかがでしょうか。
わが子の作文、わがクラスの作文は、NGワードだらけだ…やれやれ…とお思いになったかもしれません。

そんな方も、とりあえず上記の(1)(2)や(3)(4)の比較を、子どもと一緒に試してみてください。それが、スタートラインになるのですから。
まず小さな一歩を踏み出すこと、それが大事です。
ただ読ませるだけではなく、それぞれをノートに視写させた上で比較させると、より効果的です。