話を聞く姿勢、もう一度見直そう
「伝える」「表現する」を練習させよう
子どもの話を、最後の最後までしっかり聞いてあげましょう、というのが今週のテーマです。
何を今さら、とお感じでしょうか?
でも、子どもの話に対して、本当に最後の最後まで、口を挿まず先回りもせず、しっかり聞いてあげられているでしょうか?
子どもの話を最後までしっかり聞いてあげられないケースには、大きく分けて3つの理由があります。(「時間がなくて聞いていられない≒子どもの話をゆっくり聞く時間を作っていない」は、今回は含めません)
(1)子どもの話に関心がもてない
(2)途中で結論がわかってしまう
(3)話が分かりにくい
(1)については、別の機会にゆっくりお伝えします。今号では、(2)と(3)についてご説明しますね。
(2)途中で結論がわかってしまう
話の途中(場合によっては、冒頭部分だけ)でも、子どもが何を言おうとしているのか分かってしまい、「ああ分かった分かった」と最後まで聞いてあげていないケースがあります。
しかし、どんなに「もう分かった」と思ったとしても、話の途中で割り込んだり遮ったりすることは、子どもが育つうえでは、不適切な『聞き方』です。
まず、強くお伝えしたいのが『読みは外れる』ということ。
これは、推理する側の大人の能力の問題ではありません。
話をする子どもの方の特徴として、
―言いたいことを正確に表現する技術が、まだ習得途上
―“言いたいこと”そのものが、話しているうちに変化することが多い
といった要素があるからなのです。
百歩譲って大人の推測が必ず当たるとしても、話を最後まで聞いてあげないのは、やっぱり不適切。
子どもが何かを話すことには、複数の意味があることを見落としてはいけません。
親に何かの結論を伝えるだけなら『分かった』時点で話を終了しても充分でしょう。
ですが、
―伝えたいことを、言葉で表現する練習
―話を聞いてもらえる・受け取ってもらえることの充実感・安心感
などを考えると、やはり最後まで聞いてあげたいものです。
(3)話が分かりにくい
説明や表現が未熟だったり話の順序が整理されていなかったりなどの理由で話が分かりづらく、最後まで聞かずに大人の側が想像で補って済ませてしまうケースもあります。
これもまた、言葉を習得中の子どもに対しては不適切な『聞き方』です。
自分で説明する練習・経験(この言い方だとうまく伝わらなかった。あの言い方だと分かってもらえた!)はできるだけ奪わないようにしたいもの。
また、想像で補った部分が子どもの言いたかったことと違った場合に、かなり面倒なことになります。
子どもは「その想像は、ボクが言いたかったことと違う」ということを説明するのと、「ボクが本当に言いたかったことは、こういうことだ」と説明するのと、二重の苦労を負うことになります。
ただでさえ言葉を習得中の身で、こんな苦労を負わされてしまったら、うまく処理できるはずはありませんよね。いっぱいいっぱいになって、怒り出したり泣き出したりしてしまうのがオチでしょう。
「話は最後まで聞いてあげるべき」と理解すること、「聞いてあげよう」と思うことと、口を挿みそうになった瞬間にそれを思い出し、自分をぐっと抑えることとは、違う種類の難しさがあり、違う種類の胆力が必要です。
後者の方がだいぶ難しいですが、子どもと接する機会が得られた幸運を活かして、取り組んでみてくださいね!
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