クツをそろえて、思いやりを育てよう
「自分さえよければ」と思っていませんか?
“国民教育の父”と言われた森信三氏の『しつけ3原則』というのがあります。
1.朝、あいさつをする
2.呼ばれたら、「はい」とはっきり返事をする
3.はきものを脱いだらそろえ、席を立ったらイスを入れる
今回は、3番目の原則について考えてみましょう。
はきものをそろえるというのは、家に帰ってはきもの(クツ)を脱いだら、それを向こうむき(出口むき)にそろえておくということです。
ここで、円福寺の住職である藤本幸邦さんが書かれた有名な詩を紹介しましょう。
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はきものをそろえる
はきものをそろえると 心もそろう
心がそろうと はきものもそろう
ぬぐときにそろえておくと
はくときに心がみだれない
だれかがみだしておいたら
だまってそろえておいてあげよう
そうすればきっと
世界中の
人の心もそろうでしょう
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私たちの環境は、私たちの心を映し出していますから、たとえば、心がみだれている時は、机の上や部屋も乱れてきますよね。
同時に、環境も私たちの心に影響を与えていますから、机の上や部屋を片付けると、気持ちまで整理されます。
まずは基本である足元から整えようということですね。
藤本幸邦さんによると、禅宗には「足元を照らして顧みよ」 という意味の言葉で、照顧脚下(しょうこきゃっか)という言葉があるそうです。そして、はきものをそろえることから修行が始まり、他にも様々な作法を学ぶそうです。
作法によってカタチを整えると、心まで整ってくるというわけです。
「カタチを整えると心が整う」
まず、はきものを脱いだらそろえる。
そして、席を立ったらイスを入れる。
こうした日常的な作法を通じて日々の心が整えば、心のエネルギーを望む人生の実現に向けて、フルパワーで発揮することができそうですね。
これを機会に、私たちの心に影響を与えている日ごろの習慣を見直してみるのもいいかもしれません。
それからもうひとつ、藤本幸邦さんが興味深いお話を書かれていました。
道元禅師が開いた永平寺に行き、トイレに入ると、スリッパがすべてトイレの中側に向いてそろっているそうです。
スリッパを後から入る人のために“回れ右”してそろえておくということは、これから来る子孫、これからの人類のために、美しい地球環境を残そうとする思いと通じるものがありますね。
自分の望みさえ叶えば、後はどうなったって知ったことではない。
これでは、人類の子孫が大変なことになってしまいます。
後から来る人たちのためにスリッパをそろえる。こうした思いやりの習慣を誰もが身につけていたら、地球環境もここまで破壊されなかったのかもしれません。
日常的な習慣をしっかり身につけながら、グローバルなことも考えていきたいものです。
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