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やるべきことを忘れない、声かけの工夫

複数の指示を一気に伝えていませんか?

息子の若鷹が小学生になってから、
「何度言っても、子どもがすべきことをきちんとしない」
という悩みを、まわりのママたちからよく聞くようになりました。
小学生になると、子どもが自分でしなければいけないことが増えるからですが、若鷹も同様でした。

ただ、よく観察すると若鷹の場合、最初からする気がないのではなく、興味がすぐに他に移ることにより、言われたことを忘れてしまうのだと気づきました。
そこで、私はこれらの若鷹の性格を考慮した上で、まず自分の指示の仕方の問題点を考えることにしたのですが、これは若鷹の一言で一気に解決してしまいました。

ある時、学校から帰宅してランドセルをおいた若鷹に
「学校からのお手紙を出して、汚れた体操服を洗濯機に入れたら、筆箱の鉛筆を削ってね。終わったらおやつにしよう♪」
と言ったところ、若鷹は悲しそうなハの字の眉で、
「一度にたくさん言わないで」
と言ったのです。

『終わったらおやつ』という楽しみをもってくることで、自分なりに工夫して伝えたつもりでいた私は、自分の工夫が的を射ていなかったことに気づきました。
そして、これら一連の作業を帰宅時の習慣にしたかったがゆえに、若鷹の性格を考えることなく複数の指示を一度に出していた、自分の早急さを反省しました。

若鷹の指摘はもっともで、子どもだからというわけではありません。私だって同様です。
「夕飯のあとかたづけをしたら、学校のお手紙に目を通して必要事項を手帳にメモし、それから洗濯ものをたたむ」
というような時、たとえば学校のお手紙に
「△日までに、工作用のトイレットペーパーの芯を持たせてください」
などと書いてあったとします。
すると、トイレットペーパーの減り具合の確認に意識が移ってしまい、洗濯物をたたむのをすっかり忘れていた!!
ということが、私も実際によくあるのです。

一度にたくさんの指示を出してはいけないと悟った私は、それから指示を1つずつにして、若鷹がひとつの作業が終わってから、新しい指示を出すことにしました。
ところが、ここでまた問題が起きました。
若鷹はひとつの指示の作業が終わった時点で、瞬時に頭の中が、おやつモードや遊びモードに切り替わるため、次の指示を出した時に、
「えぇ〜っ、(終わりと思ったのに)まだあるの?」
と、イヤな顔をするのです(苦笑)。
私もムシの居所が悪いと、この態度にカチンときて険悪になってしまうので、更に改善策を考えることにしました。

「自分が上司や講師に指導や指示を仰ぐ時、どう言ってもらえば、忘れないか」
を考えたところ、あるセミナーで、講師の方が講義内容のまとめとして、
「皆さんいいですかぁ?今回のポイントは3つですよ〜」
と前置きして、講義内容をまとめられていたことを思い出しました。
こう言われると、あらかじめ3つあるとわかっているので、その時点で心構えができるのです。

このことと同時に、私は車酔いのことを思い出しました。
私もそうなのですが、人が運転する車に乗っていると酔うのに、自分で運転すると酔わないという人は多いものです。
何の本だったか忘れたのですが、
「自分で運転する時には、あらかじめ揺れや傾きに対して予測ができるため、身体がそれに対応しようとする。だから酔わないのだ。脳は予測ができることに対しては、ストレスを感じない」
というようなことが書かれていたのを思い出しました。

そこで、若鷹への指示にも『予測ができる』ということを取り入れることにしました。以下のようにしてみたのです。
「これから若鷹がすべきことが、3つあります。ひとつずつ言うから、終わるたびにママに声をかけてね。まず1つめ。学校からのお手紙を出してください」
若鷹が手紙を私に渡してくれたら、
「ありがとう♪ではふたつめ。汚れた体操着を洗濯機に入れてください」
これも終わったと若鷹が伝えにきたら
「3つめ、最後ね。これが終わったらおやつだよ♪筆箱の中の鉛筆を削りましょう!」
『おやつ』を最後に言うとそちらに気持ちがいってしまうので、あくまで『鉛筆を削る』という指示を最後に言うようにしました。

これらの工夫で、若鷹がすべきことを忘れてしまうことが、なくなりました。加えて、
「えぇ〜っ、まだあるの?」
とイヤな顔をされることもなく(笑)、親も子もストレスなく非常にスムーズにいくようになりました。
そして、これらを続けているうちに、若鷹は普段の生活の中でも、
「今日持って帰るのは、体操着、絵の具セット、それから上履き。全部で3つだね。帰りに1、2、3、ってひとつずつ確認する」
と自ら工夫するようになり、持ち帰るものや、持って行くものを忘れてしまうことが激減したのです。

私は思います。
子どもがすべきことで、滞ることやうまくいかないことがある時には、まず滞っている原因に目を向けて、その原因を取りのぞくための工夫をしてあげるとよいのだと思います。
子どもは一生懸命やっているのです。
子どもが悪いのではないのです。
つまずきの原因を取り除くために、親がちょっとした工夫をすることで、多くのことは改善できます。