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ピアノ上達の鍵を握る呼吸法とは?

管楽器ではなくても、呼吸は重要!

ピアノの演奏をするときに自分の呼吸を意識している生徒は、残念ながら非常に少ないです。
特に年齢の低い生徒の場合、呼吸のことを言おうものなら、今度はそちらに意識が集中しすぎてしまって演奏がおろそかになる…。困ったものです。

呼吸は、フレージングに大きな関わりがあることです。
しかし物理的に考えてみると、息を吸っていても吐いていても、あるいは一瞬止めていても、演奏できないかというとそうではありません。
乱暴な表現かもしれませんが、管楽器以外、ピアノはもちろんヴァイオリンもヴィオラもチェロもコントラバスもハープも打楽器も、息を吸っていようが吐いていようが音は鳴るわけですから。
しかし、呼吸の種類により出てくる音が違うことは、得てして忘れられがちなのですね…。

フレージングに注意を促すとき、水泳などを例に挙げることがあります。
「水の中で息を吸ったらどうなる?」
とか聞いたり。
フレージングを無視して、ぶちぶち切り刻んで弾いてしまう生徒の場合、
「水の中で息を吸っているのと同じだね。水の中では息を吸わないほうがいいでしょ?息を吸っちゃったら苦しいよ」
などと言うわけです。

当たり前のことですが、息を吸うためには先に吐いていなければなりません。
少々脱線しますが、皆さんは、
「はい、深呼吸〜」
という声を聞いたとき、まず息を吸いますか?吐きますか?
多くの場合は、
「吸って〜。吐いて〜」
というセリフが続きますから、まず吸うことが多くなると思うのです。

しかし、まず吐くことが大切なのです。
先に吸う場合よりも、まず吐いてから吸うほうが、当然ですが、より深く吸い込むことができます。
口から細くゆっくり吐く、鼻から吸う。これが呼吸法の訓練の第一歩です。
これを繰り返すと、深い呼吸ができるようになります。ピアノなどの演奏の際、呼吸を無意識にしていると、いつの間にか浅い呼吸を続けてしまうことがあります。

フレーズに合わせて呼吸をする。たとえば長いフレーズのところでは、しっかり息を吸い込んでから弾く。というようにするには、深い呼吸が必要なのですが、最近の子どもたちを見ていると、どうもこの呼吸が浅いのですね…。
浅い呼吸でいいときもあるのですが、深い呼吸ができていて、意図的に浅く呼吸をするのと、浅い呼吸しかできないのとでは意味が違ってきます。

もう1つ言いますとね。
『口呼吸』では、呼吸はコントロールしにくいです。
ぐっと踏ん張ることも、ふっと息を抜くことも、とってもしにくいです。
呼吸がコントロールできないということは、極端に言うと、呼吸の仕方を忘れているということ。
この状態で、フレーズを感じろというほうが無理。

で、前述の深呼吸をさせるわけです。
もちろん、吐いて、吸って、の順で。口から吐くことを意識させるために。
そんなことが役に立つのか、って?
そう思いますよねぇ。深呼吸がピアノの演奏に関係あるのかって。

楽器の演奏には、というより音楽には、呼吸が必要なのです。息遣い、ですね。音楽は、息遣いそのものだからです。
そしてその呼吸ができないから、深呼吸で呼吸そのものを意識させるのです。

管楽器を吹く場合は、当然呼吸が非常に大切になってきます。
楽譜の指示通りに吹くためには、呼吸のコントロールが必要です。
オーケストラで演奏する場合であれば、団員の『呼吸』が合っていなければ演奏が乱れますから、呼吸を意識することになります。

が。
ピアノという孤独な楽器の演奏、しかも子どもとなると、呼吸を常に意識することが非常に少なくなるのです。
音楽とは、常に流れているものです。息遣いは、音楽を構成するものの中でも、とても大切な要素の1つです。
息遣いを感じられない音楽は、面白くもなんともないのです。
言いようもない緊張感、そして解き放たれる気持ち。そういうものは、音楽の中に常に存在します。
それを表現するためには、呼吸がとても大切なのです。

まず、深呼吸をしてみましょう。吐いて、吸う。たっぷりと、深い呼吸をします。
気持ちが落ち着いてきますね。音楽の演奏には、それも大切なこと。

どうも音楽的にしっくりこない、自分の音楽を聴いていて面白くない。
そう感じることがあるなら、まず呼吸を見直してみて下さい。

生きていく上で必要な『呼吸』は、音楽にとっても必要。音楽は、特別なものではないので。