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『ごくせん』に見る今どきの子のコミュニケーション事情

手が出るのは、気持ちを説明するのが下手だから

先日、テレビドラマ『ごくせん』を見ました。卒業式スペシャルです。
『ごくせん』は私の大好きなドラマです。義理人情にあふれていて、見た後に爽快な気分になります。
しかし、ケンカのシーンがとても多いです。今の高校生って、あのペースでケンカをしているのでしょうかね。疲れますね(笑)。
さて、そのケンカの場面で、
「○○じゃねぇか」
「なんだとこのやろう、もういっぺん言ってみろっ」
という会話の後に、殴るパターンがよくあります。
「もういっぺん言ってみろ」と言われているのに、殴るんです。

最近読んだ本に、今どきの子供たちのコミュニケーション事情として、次のようなことが書いてありました。
子供たちのコミュニケーションについて感じていることを、教師に聞いた回答です。

1.語彙(い)が少なく、自分の気持ちをことばで伝えるのが苦手
2.相手の立場を思いやることが足りず、悪気が無いのに傷つけることを言ってしまう
3.友達同士の揉め事で、口げんかすらせずに、いきなり手が出ることが多い

この3番に注目です。
最近の子供たちは、口げんかができない。
どんなに傷ついたのかが言えない。
どんなに怒っているのかが説明できない。
つまり、伝えたい気持ちを言葉に変換できないのです。

昔のケンカは、まず口げんかをしていたように思います。
口げんかでは、言葉の達者な方が勝ちます。つまり、自分の考えをさっと言葉に変換できる方が勝ちなのです。それで、言葉の力で負けた方が、それでも相手を負かしたい場合に限って手を出していたように思います。

「ごくせん」の生徒の場合に限らず、ドラマにおける不良やチンピラは、自分の感情を暴力でしか表現できない設定になっているようです。
ちょっとでも複雑な気持ちになると、的確な言葉で自分の気持ちを伝えられず、いらいらしてすぐ大きなケンカになります。そのケンカが、事故や事件になる場合も多いようです。そう、いわゆる「キレる」子も、同じです。感情の変化が説明できず、突然爆発してしまうのです。

「偏食をするとキレやすい」
「生活のリズムが乱れているとキレやすい」
「集中力がないとキレやすい」
いろいろな説が出回っていますが、わたしは「自分の気持ちを言葉で的確に伝えられる力」さえ持てば、突然「キレ」たりしなくなると思います。
いやな事を言われたりされたりした時に、どんなにいやな気持ちになったのかを相手に的確な言葉で伝える。
何かをしてもらって、うれしかった時には、どんなに素敵な気持ちになったのかを相手に的確な言葉で伝える。
そのコミュニケーション力があれば、「もういっぺん言ってみろ」と言われているのに、「殴る」子にはならないと思います。

家庭への提案。
まずは身近な母親が、子供の言いたい事に、ふたをしたり、通せんぼをしたりすることなく、じっと待って聞いてあげる姿勢が大切だと考えます。
新学期。子供は新しい環境の中で、様々なストレスを抱えて下校します。おうちで、子供の話をじっくり聞いてあげましょう。