子供から最大限の力を引き出すには
経験させたい「知る→好む→楽しむ」のプロセス
今週、読んでいた書籍の中に、論語の一節が著されており、印象に残りましたので、ご紹介したいと思います。その一節は、
「之を知る者は之を好む者に如かず。之を好む者は之を楽しむ者に如かず。」
です。
一般的には、「知好楽」として知られているようです。今日は、この一節について考えてみたいと思います。
この一節を訳すると、「知る者は好む者にかなわない。好む者も楽しむ者にはかなわない。」といった感じだと思います。
例えば、レストランでの接客を想定すると、接客担当者が、接客の仕方やメニューなどのマニュアルを知っている段階の人と、接客を楽しみながらやっている人とでは、お客様が感じる印象は違ってくるでしょう。
マニュアルを知っている段階の接客担当者であれば、お客様に対しては笑顔で接することを知識として知っていても、実際にお客様に接するときには、作り笑顔になってしまったり、本当の意味での笑顔にはなりにくいでしょう。
接客を楽しんでいる担当者だとすると、お客様と接するときには、自然と笑顔で応対するでしょうから、お客様も好印象を持つのではないでしょうか。
知る段階から好む段階へ、好む段階から楽しむ段階へと進んでいくためには、何らかの物事に対して「ほめられた」「おもしろかった」などのポジティブなきっかけがあるように思います。
私自身、高校時代に次の段階へと進んでいくプロセスを経験したことがあります。
私は、小学生のころから習字が大の苦手でしたが、高校では、選択科目があり、音楽・美術・書道の中から1つ選ばなければいけなかったので、仕方なく「書道」を選択しました。
授業が始まったころは、予想通り面白くなくてどうしようと思っていました。
そのうちに、変わった筆づかいをしながら、崩した字を書くという授業のときに転機がおとずれました。
筆づかいを練習をしているときに、担当の先生からほめられました。
今まで、書道でほめられたことがなかったので、とてもびっくりしましたし、うれしかったことを思い出します。
「何もおだてりゃ木に登る」ではありませんが、先生からほめられたことをきっかけとして、変わった筆づかいの崩した字を書く授業は好きになりましたし、楽しくなってきました。
そして、地元の大会に出品するということになり、運よく「佳作」という賞をいただくことができました。
それまで、絵や習字などで賞というものをもらったことがなかったので、とても驚いたことを思い出します。
こういった経験をしたこともあってか、今回の論語の一節は、ストンと腑に落ちました。
オリンピックに出場する選手でも、「楽しみたい」というコメントを聞きますが、その裏には、自分の精一杯の力を発揮したいという気持ちがあるのではないかと思います。
やはり、自分が、その物事を楽しめる段階になってくると、自らが持っている力を最大限に発揮することができ、結果・成果も最大化していくことにもつながっていくように思います。
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